北極海にすむ巨大深海ザメをカリブ海西部で発見か、初

深海のはえなわに掛かり2時間格闘、おそらくニシオンデンザメ、ベリーズ沖

2022.08.05
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【動画】貴重!深海のニシオンデンザメ142匹を撮影
非常に珍しいニシオンデンザメが、カナダ北極圏の深海で撮影された(解説は英語です)(参考記事:「【動画】貴重!深海のニシオンデンザメ142匹を撮影」

生息域は予想以上に広い?

 ニシオンデンザメは体長7メートル、体重1.5トンにもなる大きなサメだ。アザラシや魚、イカを捕まえることが知られているが、むしろ好物は死肉で、海底に行き着いた大型哺乳類の死骸を食べる。

 また、ニシオンデンザメは最近、世界で最も長生きする脊椎動物の称号を与えられた。推定400年以上も生きることができ、2016年には、グリーンランド沿岸で272歳の個体が発見された。(参考記事:「約400歳のサメが見つかる、脊椎動物で最も長寿」

 ニシオンデンザメは北極海最大のサメで、北極海に年間を通じて生息する唯一のサメでもある。個体数はよくわかっていないものの、減少傾向にあると考えられており、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは「危急種(vulnerable)」に分類されている。浅瀬で目撃されることもあるが、水深約2200メートルの深海に暮らすことも可能で、マイナス2℃からプラス7℃の水温に耐えることができる。

 ニシオンデンザメを含むオンデンザメは、冷たい海に適応したサメのグループだ。エネルギーを節約するためにゆっくり動き、組織には凍結防止剤に似た化学物質が多く含まれ、水分が凍るのを防いでいる。これらの適応により、極寒の北極海でも暮らすことができるのだ。

 そのため、ベリーズで発見されるのは予想外だった。ただし、オンデンザメは何度か赤道付近で目撃されている。(参考記事:「【動画】超貴重!巨大深海ザメの撮影に成功」

【参考ギャラリー】恐ろしくも美しきサメ、10選 (クリックでギャラリーページへ)
【参考ギャラリー】恐ろしくも美しきサメ、10選 (クリックでギャラリーページへ)
モンスター カナダのバフィン島の近くで海氷の下を泳ぐニシオンデンザメ。世界で1番泳ぎの遅い魚として知られる。(PHOTOGRAPH BY NICK CALOYIANIS, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 熱帯でニシオンデンザメが記録されるのは「とても価値がある」と、北極圏の漁業の専門家で自然保護団体オーシャンズ・ノースに所属するブリン・ディバイン氏は話す。

「極地から離れた場所の分布についてはほとんど何もわかっていません。このような観察から、私たちはこのサメのことを学んでいます(中略)が、この種については、解明されていない領域がまだ残されています」

 北極圏からは遠く離れているが、カリブの深海も非常に冷たい。これらの動物にとっては、十二分に適した環境のようだ。実際、ニシオンデンザメを含むオンデンザメは世界中の深海に生息している可能性があるとカサナ氏は述べている。しかし、目撃情報はごくわずかだ。

「Sharks of the World(世界のサメ)」の著書があり、サメの生態を研究するデイブ・エバート氏は「カリブの深海については、あまり詳しくわかっていません」と話す。「この学生がサメのスナップショットを撮影できたのは幸運でした。そうでなければ、私たちが存在を知ることはなかったでしょう」

 あの日、捕まえたのは狙っていたサメではなかったが、カサナ氏はその存在を記録できたことを喜んでいる。

 ベリーズ政府は最近、(グローバーズ・リーフと周辺の深海を含む)3つの環礁をサメの保護区にすると宣言した。

「あのような別世界の生き物と出会うことができて、私たちはとても興奮しています」とカサナ氏は語り、今回の発見が「グローバーズ・リーフの海域に暮らす未発見の生き物の保護につながる」ことを期待していると言い添えた。(参考記事:「【動画】貴重!深海のニシオンデンザメ142匹を撮影」

文=ANNIE ROTH/訳=米井香織

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