【動画】クリック音を出すエイ、はじめて撮影、理由は謎

撮影者が驚いてカメラを落とすほど大きな音、インド西太平洋の2種

2022.08.03
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(PHILIP CHRISTOFF, JAVIER DELGADO ESTEBAN, JOHNNY GASKELL/FISH THINKERS RESEARCH GROUP)

 クジラは歌い、エビは破裂音を出し、フグはハミングする。それでは、エイはどうだろうか。

 エイはつい最近まで、音を出さない物静かな生き物だと考えられてきた。ところが、新たな研究によりその沈黙は破られた。マングローブウィップレイ(Urogymnus granulatus)とツカエイ(Pastinachus ater)という、いずれもインド洋から西太平洋にかけて生息する2種のエイが、明確なクリック音をまぎれもなく発している姿が動画にとらえられたのだ。

 エイのクリック音があまりに大きかったせいで、撮影者がカメラを落としてしまったほどだと、研究を主導したスウェーデン農業科学大学の海洋生態学者ラクラン・フェッタープレイス氏は述べている。氏の研究は7月8日付けで学術誌「Ecology」に掲載された。

 硬骨魚の仲間のうち、何らかの音を発するものは1000種近く存在するが、軟骨魚のサメとエイはこれまで例外だと考えられてきた。科学者やダイバーたちが、水中でいつも彼らと一緒に泳いでいることを考えると、今までだれもこれに気づかなかったというのは意外ではある。

「そこがちょっと不思議なのです」とフェッタープレイス氏は言う。「わたしはいろいろなエイたちと何度も泳いでいますが、これまでのことを思い返しながら、自分が今までこれを見落としていた理由を考えているところです」

「つまりは、われわれがすべてを知っているわけではないということなのでしょう」と氏は言う。「今は2022年ですが、外に出て観察するだけで、今までだれも見たことのないものを発見できるのです」

オーストラリア、グレート・バリア・リーフにあるヘロン島のそばを泳ぐツカエイ。(PHOTOGRAPH BY JOHNNY GASKELL)
オーストラリア、グレート・バリア・リーフにあるヘロン島のそばを泳ぐツカエイ。(PHOTOGRAPH BY JOHNNY GASKELL)
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指パッチン? 舌鳴らし? 仕組みも謎

 今回の研究以前、エイが積極的に音を出す唯一の確かな証拠は、飼育下にあるクロガネウシバナトビエイの研究から得られたものだけだった。1970年に発表されたこの研究には、エイが発した短く鋭いクリック音が記録されている。だが、エイが音を出したのは、科学者がエイを強くつついた時に限られていた。

 その後、2017年と2018年になってようやく、今回の研究の共著者らが、インドネシアとオーストラリアでダイビング中に偶然、高品質の動画でその様子をとらえることに成功した。

 この動画が撮影されたのは快挙ではあるものの、彼らがどのように音を発しているのかについてはよくわかっていない。

「エイには声帯がなく、彼らがどうやって音を出しているのか、明確なメカニズムは不明です」とフェッタープレイス氏は言う。

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