太陽の光に隠れて見えない小惑星、地球衝突のリスクは?

近年発見が相次いでいる、地球の公転軌道より内側を回る小惑星たち

2022.08.06
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 ZTFはこれまでに地球軌道の内側を回るアティラ群小惑星をいくつか発見している。地球軌道を横切る小惑星も、1週間に1個程度のペースで発見している。なかには月よりも近くまで接近してくる小惑星もあるが、深刻な懸念を抱くほどの大きさや近さではない。

 地球近傍小惑星のほとんどは、直径が数十メートルから100メートルまでの大きさだ。2013年にロシアのチェリャビンスク上空で爆発し、窓ガラスを粉々にしたり建物に被害を与えたりした直径20メートル弱の隕石から、1908年にロシアのツングースカ上空で爆発して2150平方キロの樹木をなぎ倒した隕石までのサイズが多いとヘロウ氏は言う。(参考記事:「ロシア隕石落下、負傷例は過去にも」

 ZTFを使った薄明時の観測で見つかった最も重要な小惑星は、最初のバティラ群小惑星である「アイローチャクニム」だ。

チリのセロ・トロロ汎米天文台。ビクトール・M・ブランコ4m望遠鏡のドームの隙間から太陽が輝く。この望遠鏡にはダークエネルギーカメラが搭載されていて、地球より内側の軌道を回る小惑星の探索に使われている。(PHOTOGRAPH BY DOE/FNAL/DECAM/R. HAHN/CTIO/NOIRLAB/AURA/NSF)
チリのセロ・トロロ汎米天文台。ビクトール・M・ブランコ4m望遠鏡のドームの隙間から太陽が輝く。この望遠鏡にはダークエネルギーカメラが搭載されていて、地球より内側の軌道を回る小惑星の探索に使われている。(PHOTOGRAPH BY DOE/FNAL/DECAM/R. HAHN/CTIO/NOIRLAB/AURA/NSF)
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記録破りの小惑星

 2020年初頭に発見されたアイローチャクニムの直径は約1.5キロで、惑星に衝突すればかなりの打撃を与える大きさだ。そして天文学者は、おそらく実際に惑星に衝突するだろうと予想している。

 地球近傍小惑星の起源と運命を研究している米ワシントン大学のサラ・グリーンストリート氏は、アイローチャクニムが今後どうなるかを予想した。

 最も可能性の高いシナリオによると、アイローチャクニムは数百万年後に金星に衝突するという。太陽の周りをぐるぐる回っているうちに、水星の重力と太陽の光によって軌道が乱れて外側に押し出され、ついには金星に衝突してしまうという。

 シェパード氏らが発見した小惑星「2021 PH27」も、将来、金星と衝突する可能性がある。この小惑星の直径は1キロ以下で、既知のどの小惑星よりも太陽に近いところを回っている。軌道は非常に細長く、水星軌道の内側に入ることもあるが、金星軌道の外側に出ることもあるため、アティラ群小惑星とされている。

 アイローチャクニムと同様、2021 PH27の軌道も、水星や金星との重力相互作用などによって乱されている。シェパード氏の予想によれば、2021 PH27は約1000年後に金星に接近するが、その相互作用によって小惑星の軌道がどのように変化するかはわからないという。

「地球近傍小惑星の動きは混沌としています」とグリーンストリート氏は言う。「しょっちゅう、こづかれたり弾き飛ばされたりしているのです」

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