サメの嚙む力を測定、カバやワニほどではなかった

海の頂点捕食者はどれほどのスピードで泳ぎ、どれほどの強さで噛みつくのか?

2022.07.23
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バハマのダイビングスポットであるタイガービーチは、多くのイタチザメ(英語では「タイガーシャーク」)を見られることで知られる。(PHOTOGRAPH BY BRIAN J. SKERRY, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
バハマのダイビングスポットであるタイガービーチは、多くのイタチザメ(英語では「タイガーシャーク」)を見られることで知られる。(PHOTOGRAPH BY BRIAN J. SKERRY, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 海の頂点捕食者であるサメは、狩りの巧みさでも知られる。ニシオンデンザメは泳ぐ速度は極端に遅いものの、待ち伏せや不意打で獲物を攻撃するし、オナガザメは体の半分ほどを占める長い尾を鞭のようにふるう。

 しかし、サメが泳ぐときの最高速度や噛む力(咬合力)については専門家も知らないことが多い。

 サメの咬合力に関する科学的知見のほとんどは、飼育下のサメを使った実験かコンピューターを使ったモデルから得られたものだ。「大型のサメには圧倒的な魅力がありますが、生きている野生のサメを調べようとすると、ロジスティクス上の制約に直面してしまうのです」と、米タンパ大学でサメを研究する生物学者ダン・ヒューバー氏は説明する。

 けれども今回、南アフリカでダイビング会社を経営する水中写真家ブロク・マクシー氏は、この難題に挑戦しようと考えた。自由に泳いでいる野生のイタチザメとヒラシュモクザメの咬合力を測定しようというのだ。いずれも世界最大級の肉食サメであり、咬合力の測定は、この2種ではおそらく初の試みである。

バハマのタイガービーチで、特注の咬合力計を使って大きなメスのイタチザメの咬合力を測定するマクシー氏。(PHOTOGRAPH BY MARK MCCLEAN, NATIONAL GEOGRAPHIC)
バハマのタイガービーチで、特注の咬合力計を使って大きなメスのイタチザメの咬合力を測定するマクシー氏。(PHOTOGRAPH BY MARK MCCLEAN, NATIONAL GEOGRAPHIC)
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海面に集まってきたニシレモンザメと、その咬合力を測定しようとするマクシー氏。(PHOTOGRAPH BY MORNE HARDENBERG, NATIONAL GEOGRAPHIC)
海面に集まってきたニシレモンザメと、その咬合力を測定しようとするマクシー氏。(PHOTOGRAPH BY MORNE HARDENBERG, NATIONAL GEOGRAPHIC)
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 ヒューバー氏は今回の実験には参加していないが、咬合力を調べることは、サメが過去4億年の間にどのようにして狩猟戦略を進化させ、効率よい捕食ができる動物になっていったかを理解するのに役立つという。

 咬合力のデータは、保護活動にとっても重要である。科学者がサメとその行動について知れば知るほど、彼らを保護するための計画を立てやすくなるからだ。

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