砂浜のすぐ近くで群れるサメが年々増えている、ドローンで判明

人々とサメ両方の保護に活躍するドローン、米国と豪州で進む研究

2022.07.15
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米フロリダ州マイアミ沖の温かい浅瀬に集まるカマストガリザメ。(PHOTOGRAPH BY SYDNEY PETERSEN, NATIONAL GEOGRAPHIC)
米フロリダ州マイアミ沖の温かい浅瀬に集まるカマストガリザメ。(PHOTOGRAPH BY SYDNEY PETERSEN, NATIONAL GEOGRAPHIC)
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 毎年夏になると、太平洋に面した米カリフォルニア州やオーストラリアの砂浜に、多くのサーファーが押し寄せる。しかし、海のなかではホホジロザメの群れが浜のすぐそばまで迫ってきていることにほとんどの人は気づいていない。しかも、その数は年々増えているという。

 それがわかったのはドローン技術のおかげだ。ドローンによる上空からの観察は、地上や海面付近からは見えないサメの動きや捕食行動、社会的な関係、自分たちの生息海域に入ってきた人間に対する反応などを明らかにし、サメ研究に変革をもたらしている。

「当初は、このような形で研究に使えるとは思っていませんでした。ところが導入から数年のうちに、ドローンはなくてはならないツールになりました」と話すのはオーストラリア、ニューサウスウェールズ州の上級科学者でサメを専門とするポール・ブッチャー氏だ。氏は、2021年1月に学術誌「Drones」に発表された論文の筆頭著者を務め、ドローンがサメの研究にもたらした進化について論じている。

 ブッチャー氏とそのチームは、同年にドローンによる監視プログラムを立ち上げた。「週末と夏休みに、オーストラリアに51カ所あるサーフビーチの全てでドローンを飛ばしています」。ドローンは、海水浴客にも人気のシドニーのボンダイビーチを含むニューサウスウェールズ州の海岸で、シュモクザメコモリザメオオメジロザメアオザメ、ホホジロザメの姿を頻繁にとらえるという。

 米カリフォルニア州立大学ロングビーチ校「シャーク・ラボ」研究室長のクリス・ロウ氏は、同州沖に集まるホホジロザメの数が増えていることがドローンのおかげで確認されたと話す。気候変動によって温かくなった海水と、豊富なエサに引き寄せられているという。2020年、シャーク・ラボは38頭のホホジロザメにタグをつけた。その数は、前年の3倍に上る。

 ホホジロザメは、国際自然保護連合(IUCN)により危急種(vulnerable)に指定されているが、カリフォルニア州政府による漁業モラトリアム(一時停止)のおかげで、最近では数が回復している。(参考記事:「サメ保護に朗報 漁のコントロールは各国で可能、最新研究」

「ドローンの利点は、サメが今何をしているかが美しい上空からの視点でわかることです」と、ロウ氏は言う。「海水浴を楽しむ人々は、体長2.4メートルのサメが自分たちのすぐ下を泳いでいることに気づいていません。けれど私たちは、人間と遭遇するサメを毎日のように目撃しています」

 だからこそ、人々の安全を守るためにもドローンが欠かせない。オーストラリアとカリフォルニアの州政府は、夏になると定期的にドローンを砂浜の上に飛ばしてサメの動きを追跡している。それによって、海水浴客に注意を呼び掛けたり、海水浴場を閉鎖するかどうかを速やかに決定することができる。

次ページ:映像からサメの種や行動が判明

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