【動画】スカイダイビングするサラマンダー、世界一高い木から

落下の速さと向きを姿勢で制御、米国のワンダリングサラマンダー

2022.05.25
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最初は別の種で、ワンダリングサラマンダーの見事なスカイダイビングは12秒前後から。

 世界一高い木のてっぺんで敵に狙われたサラマンダーは、一見ゾッとするような行動に出ることがある。空中を滑空して、何十メートルも下の安全な場所まで飛び降りるのだ。

 小さな風洞を使った実験により、体長約10センチのこの勇敢な生きものが、人間のスカイダイバーと同じテクニックを使っていることが明らかになった。5月23日付けで学術誌「Current Biology」に発表された論文によると、ワンダリングサラマンダーは、スカイダイビングの落下姿勢と同じように、胸を張り、四肢を外に向かって伸ばして降下のスピードを緩めているという。

 米サウスフロリダ大学の生物学者クリスチャン・ブラウン氏はかねてより、英語でワンダリングサラマンダー(Aneides vagrans)と呼ばれるこのイモリの仲間が、あれほど高い場所からジャンプをしてなぜ生きていられるのかと不思議に思っていた。米国カリフォルニア州北部の海岸沿いに広がるセコイアの森に生息する彼らは、ほかの「飛翔」する両生類に備わっているような皮膚の膜も持っていない。

 世界のサラマンダーのうち、約200種が木に登ることが知られているが、空中での彼らの行動については、これまで報告された例がなかったとブラウン氏は言う。

「この体重5グラムの大胆不敵なサラマンダーは、世界で最も背の高い木々に登り、そこから恐れることなく空中へ飛び出すのです」とブラウン氏は言う。「その姿は実に感動的で、多くの人がこの気持ちに共感してくれることを願っています」

セコイアの木の幹につかまるワンダリングサラマンダー(Aneides vagrans)。体長10センチの両生類である彼らは、研究があまり進んでいない樹冠部をすみかとしている。(PHOTOGRAPH BY CHRISTIAN BROWN)
セコイアの木の幹につかまるワンダリングサラマンダー(Aneides vagrans)。体長10センチの両生類である彼らは、研究があまり進んでいない樹冠部をすみかとしている。(PHOTOGRAPH BY CHRISTIAN BROWN)
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きっかけは『ナショナル ジオグラフィック』

 ブラウン氏がワンダリングサラマンダーのことを知ったきっかけは、『ナショナル ジオグラフィック』誌の2009年10月号に掲載されていたセコイアについての記事だった。セコイアの樹冠とそこにすむ特徴的な(そしてその多くが十分に研究されていない)動物たちに、彼はすぐに魅了された。

 今回の研究において、ブラウン氏のチームはサラマンダーの落下をシミュレートするために、風を吹き上げる小さな風洞を用意した。風の強さは、空気の抵抗を増やせばずっと浮いていられるように調整した。いわば、両生類のための屋内スカイダイビング練習施設といったところだ。

 彼らは現地でワンダリングサラマンダーを5匹収集し、1匹ずつ風洞に入れた。サラマンダーの動きは、1回ごとにスローモーション映像で記録した。次に彼らは、樹上で過ごす時間の長さが異なる北米のサラマンダー3種を、それぞれ5匹ずつ使って同じ実験を行った。(参考記事:「幻のサラマンダーを再発見、42年ぶり」

次ページ:逃げるだけではなく積極的な移動にも

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