800年前のミナレットがあるシャフェイ・モスク。サウジアラビアでも特に古い歴史をもつ、ジッダのアル・バラド地区にある歴史的建造物だ。サウジアラビアでは、観光業を促進する政策の一環として、この地域をはじめとするさまざまな場所で改修作業が行われている。(PHOTOGRAPH BY ARNOLD PAIRA, LAIF/REDUX)
800年前のミナレットがあるシャフェイ・モスク。サウジアラビアでも特に古い歴史をもつ、ジッダのアル・バラド地区にある歴史的建造物だ。サウジアラビアでは、観光業を促進する政策の一環として、この地域をはじめとするさまざまな場所で改修作業が行われている。(PHOTOGRAPH BY ARNOLD PAIRA, LAIF/REDUX)

 光り輝く水面を背景にヤシの木が風に揺れる。ここはサウジアラビア西部の港湾都市ジッダ(ジェッダとも)。紅海を挟んだ西側にはエジプトとスーダンが、反対側の内陸にはイスラム教の聖地メッカがある。(参考記事:「メッカ大巡礼、今年はサウジ国内の1000人のみに」

 アラビア語で「おばあちゃん」を意味するこの街は、何千年もの歴史をもつ。聖書に登場するイブがここに埋葬されたという伝説があるほか、巡礼者目当ての商売が栄え、インド洋の香辛料貿易の目的地にもなってきた。

 だが、サウジアラビアは急速に変化している。同国の「ビジョン2030」という計画には、ジッダ旧市街の復元が含まれている。ビジョン2030は、「脱石油」後を見据えて政府が打ち出した経済・社会戦略で、デジタル環境やインフラの整備から、女性をイスラム法の制約から解放して創造的な労働力を育むことまで、さまざまな計画が取り上げられている。(参考記事:「人類の旅路 アラビア半島を歩く」

 大規模な観光事業を展開することも、そうした計画の一つだ。実際に、2019年以降は49カ国の観光客がビザを申請できるようになっている。

 サウジアラビアには、広大な砂漠とすばらしい遺跡だけでなく、聖地への海の玄関口であるジッダがある。ジッダの歴史地区アル・バラドは、2014年にユネスコ世界遺産に登録された。18世紀から19世紀に建てられた白塗りのサンゴ石の建物は、合わせて650棟残っている。修復が進んでいるが、まだたくさんの人が訪れる段階には至っていない。ジッダを訪れるなら今がおすすめだ。

ギャラリー:世界遺産ジッダ、数千年の歴史をもつ聖地巡礼の玄関口 写真6点(写真クリックでギャラリーページへ)
ギャラリー:世界遺産ジッダ、数千年の歴史をもつ聖地巡礼の玄関口 写真6点(写真クリックでギャラリーページへ)
ジッダの歴史地区アル・バラドに数百軒ある18世紀や19世紀の建物の一つ。現在、改修作業が行われている。(PHOTOGRAPH BY ERIC LAFFORGUE, ART IN ALL OF US/CORBIS/GETTY IMAGES)

聖地への玄関口

 ジッダはヒジャーズ地方の第一の都市だ。ヒジャーズは「障壁」という意味で、西の紅海と東の山や台地に挟まれた細長い地域を指す。この地方には昔から、聖地であるメッカやメディナに向かうイスラム教の巡礼者たちが訪れてきた。そのため、グローバル化という言葉が使われるようになる前から、グローバル化が起きていた。その中心だった場所が、7世紀に整備された最初の港に近いアル・バラドだ。飛行機が登場する前、イスラム教の巡礼者たちが初めて目にするアラビアの地が、このアル・バラドだった。

次ページ:サウジアラビア初代国王が住んだ邸宅

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