天王星は太陽から7番目に近い惑星だが、人類がこの惑星を訪れたのは、1986年に探査機ボイジャー2号がフライバイしたときだけだ。科学者たちは今、天王星とその衛星を詳細に調査するために、もう一度訪れたいと考えている。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL)
天王星は太陽から7番目に近い惑星だが、人類がこの惑星を訪れたのは、1986年に探査機ボイジャー2号がフライバイしたときだけだ。科学者たちは今、天王星とその衛星を詳細に調査するために、もう一度訪れたいと考えている。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL)
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 天王星は、おそらく太陽系で最も奇妙な惑星だ。この氷の巨大惑星は、ある時点から横倒しになり、そのまま横向きに自転している。そして、十数本の環が周りを取り囲み、27個の衛星が周囲を回っている。

 人類が天王星を間近で観察したのは1986年に惑星探査機ボイジャー2号が接近したときの1回だけで、科学者たちはこのミルキーブルーの惑星について、少数の興味深い事実以外、ほとんど何も知らない。しかし今、そんな状況が変わろうとしている。(参考記事:「探査機ボイジャー40年、隣の恒星に出会う日」

 惑星科学者たちは4月19日、「惑星科学と宇宙生物学の10年戦略」と題する報告書を発表、NASAに対して、天王星へのミッションを今後10年間の最優先事項とすること、できれば2031年にも天王星探査機を打ち上げることを提案した。

「私たちは天王星で驚くべきものを見て、惑星形成全般についての膨大な知識を得て、海のある新たな天体を発見することになるかもしれません」と、報告書の巨大惑星パネル委員長をつとめた米コーネル大学のジョナサン・ルニーン氏は語る。

 天王星の大きな魅力は、太陽系のもう1つの氷の巨大惑星である海王星とともに、銀河系で最も一般的なタイプの惑星であるかもしれないという点だ。科学者たちは、天王星の奇妙な磁場、内部構造、驚くほどの低温などの謎を解くことは、銀河系のあちこちで見つかっている氷の巨大惑星を理解するためだけでなく、太陽系の歴史に関する手がかりを得るためにも重要だと考えている。(参考記事:「天王星で従来の予測を覆す嵐が頻発」

 今回提案された「ウラヌス・オービター・アンド・プローブ(天王星周回機・探査機)」ミッションでは、周回機が数年がかりで天王星とその衛星たちを観測しながら、小型の探査機を放出して天王星の大気も調べる。2004年から2017年まで土星系を探査して大きな成功を収めたNASAのカッシーニ・ミッションと同様の計画だ。(参考記事:「さよならカッシーニ、写真で振り返る輝かしき偉業 19点」

「このミッションから期待される成果は多く、惑星科学のほぼすべての分野に影響を及ぼすことになるでしょう」と、全米天文学大学連合の惑星天文学者ハイジ・ハンメル氏は語る。

未来の惑星間探査機

 惑星科学コミュニティーでは、「ディケイダル・サーベイ(10年ごとの調査)」と呼ばれる大規模な調査を行い、次の10年間に優先的に行うべき探査・研究について勧告する報告書をまとめている。この報告書は、NASAと全米科学財団がどのプロジェクトに投資するかを決定する際の指針として用いられる。

 2011年に発表された前回の10年戦略では、火星のサンプルリターンを優先するよう提言していた。NASAの火星探査車「パーシビアランス」は、現在、このミッションの第一段階を完了しつつあり、赤い惑星の表面を走り回りながら岩石や土砂を収集し、いつの日か地球に送り返すために貯蔵している。2011年の10年戦略では、木星の氷の衛星エウロパの探査も推奨され、2024年に打ち上げ予定の探査機「エウロパ・クリッパー」ミッションにつながった。エウロパは、太陽系内で生命が見つかる可能性が最も高い場所の1つだ。

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