1970年4月22日に米国で行われた最初のアースデイの活動には、約2000万人が参加した。ニューヨーク市のユニオン・スクエア・パーク近くで行われた「エコカーニバル」は、数十年間で最大規模のデモだった。(PHOTOGRAPH BY SANTI VISALLI, GETTY)
1970年4月22日に米国で行われた最初のアースデイの活動には、約2000万人が参加した。ニューヨーク市のユニオン・スクエア・パーク近くで行われた「エコカーニバル」は、数十年間で最大規模のデモだった。(PHOTOGRAPH BY SANTI VISALLI, GETTY)
[画像をタップでギャラリー表示]

 毎年4月22日は、世界中の人々が故郷の地球を称えるアースデイ(地球の日)だ。アースデイの始まりは、1970年に米国の大学のキャンパスで行われた討論会だった。それがやがて、環境保護活動の成果を称え、これから行うべきことを再認識する日へと発展した。

 もっとも環境への関心は、アースデイが制定されるずっと前から芽生えていた。14世紀から16世紀には、環境汚染や不衛生が伝染病の蔓延につながることを人々は懸念していた。また、土壌を保全する取り組みも、2000年前の中国、インド、ペルーまでさかのぼることができる。

 アースデイがそれまでと違ったのは、一連の活動が環境関連のさまざまな法律の制定につながった点だ。すなわち、米国ではすぐに大気浄化法と水質浄化法が改正され、環境保護庁が設立された。

 その後、アースデイは世界に広がり、公式サイトによるといまや10億人規模のイベントになっている。アースデイはなぜ、どのような経緯で世界中に広がったのだろうか。そして活動家たちは、なぜアースデイがサステナブル(持続可能)な未来につながることを期待するのかを見てゆこう。

環境問題×学生の反戦運動

 1960年代の米国は、環境問題の黎明期にあった。多くの米国人が環境汚染の問題を認識するきっかけとなったのは、1962年に出版されたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』だった。自然愛好家で元海洋生物学者のカーソンはこの名著を通して、当時農薬として広く使われていたDDTが食物連鎖に入り込み、人間や動物のがんや遺伝子の損傷の原因となることを詳しく記述した。

『沈黙の春』は瞬く間にベストセラーとなり、人々は最新の技術が環境に与える影響に疑問を持ち始めた。『沈黙の春』は環境保護活動が加速する土台となったが、具体的な環境保護規制が法制化されるには、さらに8年が必要だった。

 環境保護活動に大きな影響を与えたもう一人の人物が、アースデイの父でもあるウィスコンシン州選出の民主党上院議員(当時)ゲイロード・ネルソンだ。進歩主義者で自然を愛するネルソンは、精力的に環境保護立法に取り組んだ。たとえば、1964年には連邦政府の土地を守る「原生自然法」が、1968年には自然河川を保護する手続きを定めた「原生・景観河川法」が制定されている。(参考記事:「アメリカが未来へ残す原生の自然」「美しき川の流れ」

 続く1969年1月、カリフォルニア州サンタバーバラで大規模な原油流出事故が起きた。たくさんの鳥が死に、多くのカリフォルニアのビーチが汚染された。当時、米国で起きた最大の原油流出事故であり、カリフォルニアでは今もこれを超える規模の惨事は起きていない。

 この事故を受けてネルソンは、環境保護活動を展開する新たな草の根運動を思い立つ。

 反戦運動に身を投じる学生たちにも刺激されたネルソンは、環境保護でも同じような活動を起こせないかと考え、教員と学生による環境をテーマにした討論会を提案した。日程は1970年4月22日。できる限り多くの学生に参加してもらおうと、春休みと期末試験のちょうど中間を選んだ。

 さらにネルソンは、カリフォルニア選出の共和党下院議員ピート・マックロスキーと、若い活動家デニス・ヘイズに声をかけ、座り込みを企画した。これはすぐに、現在でもアースデイを象徴する抗議活動として発展することになった。討論会当日の4月22日には関心は大いに高まっており、2000の大学と1万の学校、そして2000万人の米国人が、デモや河川の清掃などを通じて最初のアースデイに参加した。

次ページ:アースデイ、世界へ

ここから先は「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」の会員の方(登録は無料のみ、ご利用いただけます。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    無料会員向け記事が読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

2020年4月号

地球が再生する理由/米国横断 電気自動車の旅/地球を守ろうと闘う若者たち/地球を救いたいと前進した50年/地球が破滅する理由/ソラスタルジア~失われゆく故郷/50年後の気候はこんなに変わる/地球を好き勝手に破壊した50年

4月号はまるごと一冊「地球の未来」。人類の英知を結集することで地球は見事によみがえるのか、それとも破滅の道をたどるのか。アースデイ50周年を契機に、50年後の地球を考えます。表から読むと再生する未来、裏から読むと破綻する未来、二つの未来像を二つの表紙でお届けします!特製付録は「地図で知る 傷つけた地球/守りたい地球」と、日本版創刊25周年を記念した「Photo Arkカレンダー」!

特別定価:1,210円(税込)

おすすめ関連書籍

世界の天変地異 本当にあった気象現象

豪雨、豪雪、暴風、干ばつ、極寒、稲妻など、世界各地で見られる天変地異。迫力のある写真と、それぞれの状況を伝えるわかりやすいキャプションで、読む人に畏怖の念を抱かせる1冊。

定価:2,970円(税込)