ピエロはなぜこんなに不気味なのか、社会心理学者の答え

書籍『科学で解き明かす 禁断の世界』から紹介

2022.03.20
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私たちはなぜ、陽気なはずのピエロを不気味と感じるのだろうか? 不気味さの正体を社会心理学者に聞いた。書籍『科学で解き明かす 禁断の世界』から抜粋して紹介する。

かわいい?不気味? 米国ハリウッドのパーティーでピエロに抱かれる子供は、女優、歌手のライザ・ミネリ。(Photograph by Hulton Archive, Getty Images)
かわいい?不気味? 米国ハリウッドのパーティーでピエロに抱かれる子供は、女優、歌手のライザ・ミネリ。(Photograph by Hulton Archive, Getty Images)
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 2016年夏、全米の各地にピエロが出没した。森の中に潜んでいたものもいれば、一般市民を怖がらせたものもいた。サウスカロライナ州では、子供がピエロの集団に森に誘い込まれそうになったという通報が相次いだ。フロリダ州では、2人のピエロが斧と野球のバットを振りかざして人々を追い回すという騒ぎを起こした。

 ゾッとするような「ピエロ目撃情報」はインターネットで話題になり、かつてのUFO騒動のようになった。

 まもなく、ピエロは英国やオーストラリア、カナダでも目撃された。若者のいたずらか、映画の宣伝か、想像の産物か、はたまた悪いことをするために出てきた本物なのかはわからないが、いずれにせよピエロは世界中どこでも「不気味」と表現される。

 それにしても、ピエロの不気味さの正体は何なのだろうか。

 ただゾッとするとか、気持ちが悪いというのではなく、何かをされそうな不気味な怖さがピエロにはある。「銃口を顔に向けて金を要求する強盗は確かに怖いし、ゾッとする。だが、そのような状況をあまり『不気味』とは言わないのではないか」と、2016年に「不気味さ」について初めての大規模研究を発表した社会心理学者のフランク・マカンドリューは言う。

 マカンドリューは、不気味さとはあいまいな状況、つまり何か恐ろしいことや自分に危害が及ぶようなことがあるかどうかがはっきりわからない状況に置かれたときに感じる不安だと説明する。

 それなら、どうしてピエロが不気味だと思われるのだろうか。ピエロは小さな子どもも喜ぶ、まぬけでお気楽なエンターテイナーではなかったのか。科学者はこの矛盾を説明できるようないくつかの説を出している。「多くの意味で、ピエロは奇妙な要素のオンパレードだ」とマカンドリューは見る。

「不気味の谷」現象のせいか?

 茶目っ気のあるおかしな見た目でありながら、ピエロがどんな人間なのか、作り笑顔の裏側で本当は何を考えているのかが見えてこない。だから、ピエロが不気味に感じられるのは、人間そっくりのロボットのように人間ではないものの見た目に感じる「不気味の谷」現象のせいではないかという研究者もいる。(参考記事:「不気味の谷?『自分そっくり』のアンドロイドを作った研究者」

次ページ:ピエロの不気味さの本当の正体

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