米国のフロリダ州南部で、在来動物のボブキャット(Lynx rufus)が外来種であるビルマニシキヘビ(Python bivittatus)の巣を荒らし、卵を食べる様子が自動カメラで初めてとらえられた。一連の写真は、州南部に広がる湿地帯「エバーグレーズ」にあるビッグサイプレス国立野生保護区で2021年6月に撮影された。
この数十年間、フロリダ州南部では外来種のビルマニシキヘビが激増しており、特にエバーグレーズで顕著だ。だが、ビルマニシキヘビは非常に見つかりにくく、追跡も難しいため、詳しい行動や生態系への影響の全体像はいまだ明らかになっていない。(参考記事:「フロリダ最大のヘビは外来種ニシキヘビ」)
今回撮影された写真は、エバーグレーズの在来動物が外来種に「反撃」している様子を目に見える形でとらえた初めての記録でもある。
このオスのボブキャットは、たまたま無防備だったビルマニシキベビの巣を見つけ、興味深そうに匂いを嗅ぐと、数個の卵を食べ、数十個を踏みつけた。そして、次回のために取っておこうと、落ちていた枝などで巣を覆い隠して立ち去った。
しばらくしてボブキャットはこの巣を再訪するが、あいにく巣に戻っていたヘビと鉢合わせしてしまった。写真からは、全長4メートル強、体重約40キロのメスのビルマニシキヘビが攻撃の構えを取り、体重9キロのボブキャットに飛びかかったことがわかる。ボブキャットはかみつかれたかもしれない。ボブキャットも負けじとヘビにパンチを繰り出した。
ボブキャットが爬虫類の卵を捕食することは知られていたが、ビルマニシキヘビの卵を食べることは今まで確認されていなかった。また、ボブキャットとビルマニシキヘビが争う様子が記録されたのも、今回が初めてだ。
ここから先は、「ナショナル ジオグラフィック日本版」の会員*のみ、ご利用いただけます。
*会員:年間購読、電子版月ぎめ、日経読者割引サービスをご利用中の方、ならびにWeb無料会員になります。
おすすめ関連書籍
小型野生ネコの姿
ヤマネコやマヌルネコ、サーバルといった小型の野生ネコは、驚異的な適応力を発揮して、砂漠や雨林、都市の公園など、さまざまな環境で生きている。ネコたちの実情を、写真家ジョエル・サートレイによる、ポートレートのように美しい写真とともに解説する。
価格:330円(税込)
おすすめ関連書籍
絶滅から動物を守る撮影プロジェクト
今まさに、地球から消えた動物がいるかもしれない。「フォト・アーク」シリーズ第3弾写真集。 〔日本版25周年記念出版〕 〔全国学校図書館協議会選定図書〕
定価:3,960円(税込)