野生のゾウ輸出に世界から非難大合唱 それでもナミビア譲らず

購入先の1つはアラブ首長国連邦の動物園だが、詳細は不明

2022.03.14
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ナミビアで野生のゾウ数十頭が捕獲され、その大多数が輸出されることになった。一部はアラブ首長国連邦の動物園に送られたが、野生生物の国際取引を規制する条約に違反しているという指摘もある。(PHOTOGRAPH BY JONATHAN IRISH, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
ナミビアで野生のゾウ数十頭が捕獲され、その大多数が輸出されることになった。一部はアラブ首長国連邦の動物園に送られたが、野生生物の国際取引を規制する条約に違反しているという指摘もある。(PHOTOGRAPH BY JONATHAN IRISH, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 2022年3月10日、フランス・リヨンで開催されたワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の第74回常設委員会で、ナミビアによるアフリカゾウ22頭の国際取引に、多くの国から非難が集まった。(参考記事:「野生のゾウ輸出に批判も、ナミビアは強行突破の構え」

 ナミビアの言い分は、「2万4000頭以上のゾウがいて、人との衝突を減らし、自然保護や野生生物管理の資金を調達するには、ゾウの捕獲が不可欠である」というもの。ナショナル ジオグラフィックがナミビア政府から提供を受けたデータによると、2021年だけで3人がゾウに命を奪われ、近年は作物の被害も多数報告されている。

 これに対し、英国をはじめとする多くの国から上がったのは、「ナミビアによるゾウの輸出はワシントン条約に違反するのではないか」という疑問の声だ。ナミビアを含むアフリカのゾウは、保護上の利益が証明されない限り、野生に存在したことがない国への輸出がワシントン条約によって禁止されているためだ。

国外の落札者はUAEとどこ?

 国際自然保護連合(IUCN)は2021年、サバンナゾウを絶滅危惧種、シンリンゾウを近絶滅種に指定した。数十年にわたる象牙の密猟が多大な犠牲をもたらし、アフリカに残っている野生のゾウは、現在40万頭ほどだ。(参考記事:「アフリカゾウ1種が『近絶滅種』に、IUCN初の2種個別評価」

 このような状況下で、2020年12月、ナミビアはゾウをオークションにかけ、3組の入札者との間で57頭の売却が成立した。そのうち15頭は、1組の落札者によってナミビア国内の自然保護区に渡った。残りの42頭については、国外の落札者だった。

 ナミビア政府は2022年2月15日、ナショナル ジオグラフィックの取材に対し、「すべてのプロセスが完了するまで、ゾウの行き先に関する詳細を明かすことはできない」と回答した。つまり、ナミビア政府がすべてをつまびらかにするには、残り20頭を輸出するまで待たなければならない。

 しかも、ナミビア政府はまだゾウの輸出先を明らかにしておらず、「情報を開示するかどうかは落札者が決めることだ」と述べている。しかし、3月第2週、世界動物園水族館協会(WAZA)が、会員であるアラブ首長国連邦(UAE)のアル・アイン動物園がゾウを購入したことを確認する声明を発表した。

次ページ:ナミビアは「隠すことは何もない」

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