逮捕や結婚しろと脅迫も、バレンタインデーが歓迎されない国々

それでも祝う人々や「愛を禁止することはできない」と言う人も

2022.02.15
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バレンタインデーは世界的にロマンスの祭典として発展してきたが、世界の一部では今も愛されていない。2016年まで、サウジアラビアではバレンタインデーにまつわる商品を販売することが禁じられていた。現在では、このサウジ東部アルコバールの宝石店のように、バレンタイン商戦が行われている。(PHOTOGRAPH BY TASNEEM ALSULTAN)
バレンタインデーは世界的にロマンスの祭典として発展してきたが、世界の一部では今も愛されていない。2016年まで、サウジアラビアではバレンタインデーにまつわる商品を販売することが禁じられていた。現在では、このサウジ東部アルコバールの宝石店のように、バレンタイン商戦が行われている。(PHOTOGRAPH BY TASNEEM ALSULTAN)

 バレンタインデーにはハート、花、キスがつきものだ。欧米諸国では何世紀にもわたって、ロマンスと愛情の表現とともに祝われてきた。調査会社イプソスが世界28カ国で行った調査では、実に55%の回答者が、この日をパートナーと過ごす予定だと答えている。

 だが世界には、キリスト教の殉教者である聖バレンタイン(ウァレンティヌス)の祝日を祝うことがタブーもしくは違法とされる地域もある。そうした国々では、宗教上の命令や西洋の商業文化が広まることへの懸念によって、毎年2月14日の恋人たちの祭典が封印されている。(参考記事:「実は野蛮で残酷だった? バレンタインデーの起源」

 以下では、バレンタインデーが禁止されている国から、この日を祝う人が集団で逮捕される国、愛を公表すると強制的に結婚させると脅迫される国まで、バレンタインデーを祝うことが奨励されない、あるいは危険でさえあるような場所について紹介しよう。

<span style="font-size:15px;font-weight:bold;">サウジアラビア、アルコバール</span><br>サウジアラビアの花屋は、今ではバレンタインデーを公然と祝うが、かつては宗教規範を取り締まる国家機関、勧善懲悪委員会からの処分を避けるため、バレンタインデーの週には赤い花を隠していた。(PHOTOGRAPH BY TASNEEM ALSULTAN)
サウジアラビア、アルコバール
サウジアラビアの花屋は、今ではバレンタインデーを公然と祝うが、かつては宗教規範を取り締まる国家機関、勧善懲悪委員会からの処分を避けるため、バレンタインデーの週には赤い花を隠していた。(PHOTOGRAPH BY TASNEEM ALSULTAN)

サウジアラビア

 サウジアラビアでは、バレンタインデーはイスラム教の礼節に反するとして禁止されていたため、何十年もの間、2月14日はごく普通の一日だった。2月に用心深くプレゼントや花の交換をする人はいたが、5年ほど前までは勧善懲悪委員会(宗教警察)に逮捕される危険性があった。

 変化が起きたのは2016年のこと。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、厳格な宗教規範の執行を担っていた勧善懲悪委員会の権限の多くを剥奪してからだ。それ以前は、バレンタインデーを祝う人々は逮捕され、関連商品の販売も禁止されていた。

 中東の衛星テレビ局アルアラビーヤの報道によると、今では同国の人々はこの祝日をオープンに受け入れており、秘密に売られていたために高騰していた花やハートをあしらったプレゼントの価格は下がったという。(参考記事:「世界のおやつ探検隊 第79回 バレンタインチョコをいただく前に」

次ページ:取り締まりを強化したパキスタンとマレーシア

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