南極の夏、クジラやペンギンと出合う船旅を体験した

手つかずの自然に足を踏み入れ、野生の鳥や動物に取り囲まれるまたとない機会

2022.02.11
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
エコツーリストたちを乗せ、南極のアンドボード・ベイを疾走するエンジン付きゴムボート。南極のエコツアーに参加すれば、危うい状態にあるこの地域を研究する科学者のような気分を味わえる。(PHOTOGRAPH BY ROBERT HARDING PICTURE LIBRARY, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
エコツーリストたちを乗せ、南極のアンドボード・ベイを疾走するエンジン付きゴムボート。南極のエコツアーに参加すれば、危うい状態にあるこの地域を研究する科学者のような気分を味わえる。(PHOTOGRAPH BY ROBERT HARDING PICTURE LIBRARY, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
[画像のクリックで拡大表示]

 研究や保護の対象になっているような手つかずの自然に、旅行者が足を踏み入れ、野生の鳥や動物に取り囲まれるような機会などめったにない。だが、南極はそんな体験ができる場所だ。エデンの園のような自然のドラマを間近で見られる場所は、いまや南極とガラパゴス諸島くらいだろう。

 南半球の夏(北半球の冬)の間、南極に居住する人は1万人ほどで、そのほとんどが気候学者や雪氷学者、鳥類学者、生態学者などだ。一方で同じ時期、約4万人の旅行者がこの楽園を船で巡る。(参考記事:「南極 氷の下の優美な別世界」

 環境保護が重視されている場所にしては訪れる人数が多いと思うかもしれないが、環境への負荷を最小限に抑えるため、国際南極旅行業協会(IAATO)は厳格な規定を設けている。定員200人以下の、質素だが快適な探検船(expedition ship)を選択すれば、可能な限り環境に優しい旅を実現できる。

 こうした探検船の最も素晴らしいところは、アザラシの生態からサバイバルスキルまで、あらゆることを教えてくれる知識豊富なガイドの存在だ。探検船に乗るだけで、極地の科学者や博物学者、探検家になったような気分を味わえる。

 私(著者のEmma Gregg氏)もこうした探検船の旅に参加した。探検に備えて、私たちはアウトドア用品を念入りに点検した。

「皆さん、マジックテープの部分を見せてください」と探検ガイドたちは言いながら、留め具や縫い目に種子、昆虫、泥などが付いていないかをチェックし、掃除機で隅々まで吸い取る。

 野生動物との距離を保つこと、痕跡を残さないことなど、ガイドたちは環境に配慮する方法を私たちに教え込む。「ティッシュペーパー、パンくず、雪の落書き。何も残してはいけません!」。こうして、エンジン付きゴムボートで氷だらけの海に繰り出す準備が整った。

南緯65度

 ネコ・ハーバーは、南極半島、アンドボード・ベイという名の細長い形をしたフィヨルドにある。およそ100年前、南極で捕鯨が盛んに行われた時代にはその拠点の一つだった。現在は平和そのものだ。

 浜辺から眺めていると、ザトウクジラの親子がゆったりと泳いで姿を現し、海面を揺らした。クジラが去って海が再び穏やかになると、今度はアシナガウミツバメの小さな群れが海面を軽やかに舞い、水中のオキアミをついばむ。(参考記事:「南極の海の生命を守る」

カヤックに近づく好奇心旺盛なクロミンククジラ。南極のネコハーバーで撮影。(PHOTOGRAPH BY ROBERT HARDING PICTURE LIBRARY, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
カヤックに近づく好奇心旺盛なクロミンククジラ。南極のネコハーバーで撮影。(PHOTOGRAPH BY ROBERT HARDING PICTURE LIBRARY, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
[画像のクリックで拡大表示]

次ページ:荒海を越えて

ここから先は、「ナショナル ジオグラフィック日本版」の
会員*のみ、ご利用いただけます。

会員* はログイン

*会員:年間購読、電子版月ぎめ、
 日経読者割引サービスをご利用中の方、ならびにWeb無料会員になります。

おすすめ関連書籍

感動の体験旅行 もうすぐ世界が待っている!

歴史や文化を感じる旅から大自然を味わう旅まで、世界各地約100カ所の定番観光地を美しい写真で巡る。それぞれの場所での旅の楽しみ方を、「文化に触れる」「身体を動かす」「自分を見直す」そして「地域活動に参加する」の4つのテーマに分けて紹介。

定価:1,540円(税込)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加