「終末時計」残り100秒、核科学者が毎年更新、その歴史

原子爆弾開発者らが発案、1947年は「残り7分」だった

2022.01.25
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毎年1月にリセットされる「終末時計」は、3年連続で午前0時の100秒前。「世界は極めて危険な瞬間に立ち往生したままだ」と、時刻を設定する科学者たちは言う。 (COURTESY OF THE BULLETIN OF THE ATOMIC SCIENTISTS)
毎年1月にリセットされる「終末時計」は、3年連続で午前0時の100秒前。「世界は極めて危険な瞬間に立ち往生したままだ」と、時刻を設定する科学者たちは言う。 (COURTESY OF THE BULLETIN OF THE ATOMIC SCIENTISTS)
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 残り100秒。これは2022年の「終末時計」が示す、地球滅亡までの残り時間だ。

 終末時計が誕生したのは、今から75年前の1947年のこと。かつて最初の核兵器を開発した科学者たちが、人類の滅亡を午前0時になぞらえ、残された時間を象徴的に示し始めた。それ以来、この時計は米学術誌『Bulletin of the Atomic Scientists(原子力科学者会報)』のシンボルとなっている。(参考記事:「人類初の原爆実験、「核の時代」こうして始まった」

 この時計は毎年1月、科学者らがその時代の状況を踏まえて設定する。今年は3年連続で過去最短の「残り100秒」と定められた。冷戦の最中、米国人が核シェルターを掘り、子どもたちが原爆攻撃に備えて学校の机の下に隠れるように言われていた時でさえ、時計の針はここまで進んでいなかった。

 世界の終末のシナリオを描くための材料は、かつてないほど豊富にあると、同誌の編集者ジョン・メックリン氏は語る。同誌の1947年6月号で初めて時計が描かれた時、編集者たちはただ、原爆が世界の街に降り注ぐ可能性のみに懸念を抱いていた。当時、時計は午前0時の7分前に設定されていた。現在では、同誌の科学・安全保障委員会は、毎年時計の針をどこに合わせるかを決める際に、核の脅威だけではなく、多くの問題を考慮している。(参考記事:「米国は第3の原爆投下を計画していた」

「気候変動、生物学的脅威、人工知能……地球を脅かす新たな問題は山ほどあります」とメックリン氏は言う。近年は、偽情報の急速な拡散も、人類の存続を脅かす事柄のリストに加えられている。

 初期の原爆科学者たちは、「核兵器が文字通り、文明を終わらせかねない人類初の創造物であることを知っていました」とメックリン氏は言う。「しかし、彼らはまた、その後もそうしたものが生まれるだろうことに気付きました」

効果的な警鐘

 ロバート・K・エルダー氏とJ・C・ガベル氏は、新著『The Doomsday Clock at 75(終末時計の75年)』の中で、「20世紀で最も効果的な情報デザイン」と主張するこの時計の歴史をたどっている。

 終末時計は、第二次世界大戦中に核兵器を開発・製造したマンハッタン計画に従事していた科学者を中心とする編集者たちが、創刊する新しい雑誌の表紙を印象深いものにしようと考えた結果、誕生したものだ。

次ページ:終末時計の誕生

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