コロナ陽性者の隔離期間が短く、根拠は? 接触者は? 米国の例

無症状なら10日間から5日間へ、接触者はワクチンの接種状況次第

2022.01.12
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
全米で新型コロナ患者が増加する中、2021年12月22日にフロリダ州マイアミのトロピカルパークにあるドライブスルー方式の検査場には多くの車が並んでいた。(PHOTOGRAPH BY JOE RAEDLE, GETTY IMAGES)
全米で新型コロナ患者が増加する中、2021年12月22日にフロリダ州マイアミのトロピカルパークにあるドライブスルー方式の検査場には多くの車が並んでいた。(PHOTOGRAPH BY JOE RAEDLE, GETTY IMAGES)
[画像のクリックで拡大表示]

 急速に感染が拡大している新型コロナウイルスの新たな変異株、オミクロン株。他の変異株との違いが解明されるにつれ、この変異株に対処するための指針も急速に変化している。すでにオミクロン株が主流となっている米国では、疾病対策センター(CDC)が陽性者の推奨自主隔離期間を10日間から5日間に短縮するなどの指針変更を行い、議論を呼んでいる。

 CDCの指針変更の背景には、どのような科学的根拠があるのだろうか? オミクロン株の感染が広がる中、私たちはどのように身を守ればよいのだろうか? 米国の例についてQ&A形式で解説する。

CDCはなぜ推奨隔離期間を変更したのか?

 米ミネソタ州にあるメイヨークリニックの内科専門医でワクチン研究者のグレゴリー・ポーランド氏は、「その方が現実的だからです」と言う。オミクロン株は他の変異株に比べ感染が広がりやすく、CDCのデータによれば、1月9日における直近7日間の新規感染者数は平均すると1日あたり67万人を超えるまでに急増している。もし数十万人が10日間も自主隔離しなければならないとしたら、病院をはじめとする重要な事業の人員配置や運営は困難になる。

「医療従事者の20%以上が陽性と診断され、働けなくなったらどうなるでしょうか?」とポーランド氏は言う。「医療従事者の数が不足して、入院患者の死亡や合併症が激増するでしょう」

 もちろん、指針を変更した背景には確かな科学的根拠もある。

 感染者の鼻の中の“生きている”、つまり感染力のあるウイルスの濃度を測定し、その濃度が時間とともにどのように変化するかを調べた研究がある。その結果、CDCの発表によれば、感染者が周りの人にウイルスをうつす可能性が高いのは、通常、症状が出る1〜2日前から2〜3日後であると、米テキサス州ヒューストンのベイラー医科大学の感染症専門医ジル・ウェザーヘッド氏は言う。つまり、検査で陽性になってから5日後には、感染者が排出するウイルスの量は急激に減少するのだ。

 一方でスタンフォード大学の感染症専門医アブラール・カラン氏は、新しい指針は折り合いをつけるためのものだと言う。「労働力の莫大な損失を避ける代わりに、感染初期に比べればはるかに小さいとはいえ、まだ人にうつす可能性のある人々を社会に戻すということです」

陽性判定から5日後に誰でも自主隔離を終わりにしていい?

 そうとはかぎらない。5日後に自主隔離を終えられるのは、その時点で無症状であるか、症状が軽減した(24時間以内に発熱していない)人だけだ。

 約5日後に検査で陰性になったとしても、人にうつすおそれがなくなったわけではないとカラン氏は言う。「抗原検査で陰性になっても、まだ人にうつすおそれがあります。とはいえ、陽性だったときに比べれば、感染させにくくなっている可能性は高いです」

 CDCのガイドラインでは以前から、免疫力が低下していたり、重症化したりした人は、ウイルスを排出しなくなるまでに時間がかかるので、20日間ほど自主隔離するべきとしている。免疫系に問題がなく、症状が軽減している人は、5日目以降は口と鼻をぴったり覆う高品質のマスクをすることで、ウイルスを感染させるおそれを減らせる。そして、さらに5日間はマスクを着けるようCDCは推奨している。

「最新の指針の考え方は、ウイルスを人にうつさないために、感染力がピークになる時期は確実に自己隔離しようということです」とウェザーヘッド氏は言う。「しかし5日を過ぎてもウイルスを排出しているかもしれないので、マスクを着用しつづけることで、感染を防ぐための防御を重ねることができます」

次ページ:隔離日数の数え方は?

※編注:日本の厚生労働省の規定はこちらの「陽性だった場合の療養解除について」の項目をご覧ください(厚労省のHPへ移動します)。

会員向け記事を春の登録キャンペーンで開放中です。
会員登録(無料で、最新記事などメールでお届けします。

会員登録(無料)のメリット

  • 1ナショジオ日本版Webの
    無料会員向け記事が読める
  • 2美しい写真と記事を
    メールマガジンでお届け

おすすめ関連書籍

グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界

世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ会長とオンラインメディア『マンスリー・バロメーター』の代表ティエリ・マルレが、コロナ後の世界を読み解く。

定価:2,200円(税込)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加