
フィンランド人にとってサウナは神聖な場所だ。ほとんどの人が自宅や公共の場所でサウナに入り、心身共にリフレッシュしている。(PHOTOGRAPH BY GONZALO AZUMENDI, LAIF / REDUX)
ユネスコ世界遺産は広く知られている。エジプトのピラミッドやペルーのマチュピチュ遺跡、フランスのベルサイユ宮殿など、普遍的な文化価値があると認められた場所だ。
では、シンガポールの屋台文化やフィンランドのサウナ、ジャマイカのレゲエ音楽などはどうだろうか?
伝統的な慣習や文化は、実際に存在する場所や建物とちがって、修復すれば保存できるというものではない。だが、この世界に多様性や面白さをもたらし、さらにはおいしい食べ物も作り上げているのは、こういった文化的慣習にほかならない。ユネスコ無形文化遺産は、こうした伝統や文化を登録し、保護していこうという取り組みだ。
ユネスコとは何か?
ユネスコの正式名称は、国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization:略してUNESCO)。教育や科学、文化の発展と推進を目的とした国連の専門機関で、その活動の一つとして、カンボジアのアンコールワットや、イタリアのピサの斜塔といった世界遺産の登録を担っている。
無形文化遺産の始まり
2008年、ユネスコは、シチリア島の人形劇やメキシコの「死者の日」など、現在まで続いている文化的伝統を無形文化遺産として指定する取り組みを始めた。これには、世界遺産に選ばれるのにふさわしい古い建造物が少ない場所にある伝統文化を認めるという目的もある。
伝統にも保護が必要
世界の文化と同じく、無形文化遺産もじつに多様だ。ユネスコのセシール・デュベル氏は、守るべき価値があるものばかりだと話す。「グローバル化が進むほど、伝統のルーツを失わないことが大切になります」。無形文化遺産は観光を促進するためのものではないが、認知度が高まれば、地元からも潜在的な観光客からも注目されることになる。
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