守れるか 牧草地の消失で激減する英国の希少なコウモリ

1000匹しかいないと言われるグレーウサギコウモリの撮影に成功

2021.01.05
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英国デボン州の納屋にあるねぐらから出てきたグレーウサギコウモリ(学名Plecotus austriacus)。英国で現在も繁殖しているコウモリとしては最も希少な種だ。コウモリは光に敏感なため、赤いフィルターを使って撮影された。 (PHOTOGRAPH BY NEIL ALDRIDGE)
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 英国デボン州の有機農場にある古い石造りの納屋には、コキクガシラコウモリやユーラシアヤマコウモリ、ホオヒゲコウモリが暮らしている。夏になると毎晩、ガ、ハエなどの昆虫を捕まえるため、コウモリたちが出産保育コロニーから飛び立つ。2020年夏、このコウモリたちを2カ月近くにわたって観察したのが自然保護写真家のニール・オルドリッチ氏だ。

 週に数日、夜になると、オルドリッチ氏は草の生えた中庭に陣取った。2台のカメラを、1台は納屋の扉、もう1台は夜空に向けてセットした。そして、コウモリがモーションセンサーを作動させた瞬間に撮影できるようカメラを設定する。徹夜覚悟の撮影だ。(参考記事:「かわいい?コワい?だから魅力的なコウモリ写真集」

 オルドリッチ氏が狙うのはグレーウサギコウモリ(学名Plecotus austriacus)だ。幸運なら、英国でとても珍しいコウモリが飛ぶ姿を撮影できる。

 オルドリッチ氏の忍耐は報われた。「もう少しで撮影できると思い、少しずつ撮り方を改良していきました。結局、最後の2回で2枚を撮影できたのです」(オルドリッチ氏)

 この写真撮影は「バック・フロム・ザ・ブリンク」プロジェクトの一環として行われた。種の回復に取り組む自然保護団体に声をかけて、英国内で絶滅の脅威にさらされている動物たちを救うためのプロジェクトだ。オルドリッチ氏の任務は、グレーウサギコウモリを写真に収めること。謎が多いこのコウモリの存在を人々に知ってもらうことが目的だ。

個体数は1000匹足らず

 グレーウサギコウモリは、その名のように、体の長さに匹敵する長い耳を持つ。また、「ウィスパリング・バット(ささやきコウモリ)」という異名を持ち、ほかのコウモリより小さな音で反響定位できる。これは狩りに有利な特徴だ。(参考記事:「コウモリは暗闇でどうやって獲物を見つけるのか?」

次ページ:害虫抑制の役割がコウモリから農薬に

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