ラオスの蛇神ナーガ 目標はユネスコ無形文化遺産登録

ラオスの寺院の屋根や織物に欠かせないナーガは、人々の大切な文化財だ

2022.01.09
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1904年に建てられたルアンパバーンのホーカム王宮は、1975年に王政が廃止されるまでラオス国王の住居だった。屋根の上にはナーガの頭部の装飾がある。 (PHOTOGRAPH BY ARTERRA PICTURE LIBRARY, ALAMY STOCK PHOTO)
1904年に建てられたルアンパバーンのホーカム王宮は、1975年に王政が廃止されるまでラオス国王の住居だった。屋根の上にはナーガの頭部の装飾がある。 (PHOTOGRAPH BY ARTERRA PICTURE LIBRARY, ALAMY STOCK PHOTO)

 ラオスの女性は、色とりどりの「シン」という手織りの巻きスカートを身に着けている。その裾には、手の込んだナーガの柄が織り込まれている。このように、ナーガは各地で織物に取り入れられ、人々の暮らしと切り離せない存在になっている。

 実際、ラオスの仏教寺院はさまざまな形のナーガに守られている。首都ビエンチャンにある16世紀の仏教寺院、ワット・シームアンでは、9つの頭を持つ金色のナーガが、瞑想する仏像を守っている。メコン川の移動や観光に使われる木造船にも、力強いナーガの姿が用いられている。(参考記事:「ダム建設に揺れるメコン川とイラワジ川」

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町を守るナーガ

 ラオスでナーガに出会う格好の場所と言えるのが、ルアンパバーン(ルアンプラバンとも呼ばれる)だろう。この町はメコン川とナムカン川の合流地点にあり、ユネスコ世界遺産に登録されている。ルアンパバーンには、すばらしい仏教寺院やフランス植民地時代の面影を残した建築物があり、旅行者にも良く知られている。

 だが、ナーガは霊界と人間界の行き来に町の河川を利用するとされていることから、ラオスの人々にとって、この町はナーガの重要な通行地点でもある。ナーガは、この町の33の寺院を守っており、プーシー山という町の中央にある丘のふもとで歯をむき出してうなっている姿や、15世紀に建立されたワット・シェントーン寺院の円柱で尾を振りかざしている姿を目にすることができる。

 ルアンパバーンでは、15匹のナーガが町を守っているという言い伝えがあり、8月のボートレース祭りや秋のランタン祭りで守護神ナーガに感謝を捧げる。ランタン祭りでは、蛇の形をした舟の山車が町を練り歩き、最後はメコン川に舟を流す。

織物にも描かれる

 ラオスに文字言語が普及する以前は、織物が、口述された歴史や民話を次の世代に伝える役割を果たしていた。絹や木綿の生地に描かれたストーリーでは、ナーガが、気高さと不安定さを兼ね備えた恐るべき主人公だ。豊かさを授けることも、災いを招くこともできる守護霊とされている。

ギャラリー:無形文化遺産目指す、ラオスの寺院の屋根や織物に欠かせないナーガ 写真6点(画像クリックでギャラリーページへ)
ギャラリー:無形文化遺産目指す、ラオスの寺院の屋根や織物に欠かせないナーガ 写真6点(画像クリックでギャラリーページへ)
1548年に建立されたルアンパバーンの仏教寺院、ワット・タートルアンの円柱を飾るナーガ。 (PHOTOGRAPH BY ISTOCK PHOTOS, GETTY IMAGES)

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