コスタリカ沖の孤島、ココ島の海に初めて潜ったとき、海洋生態学者のエンリック・サラ氏は「水中のジュラシック・パーク」にいると感じた。
「鮮明に覚えています。200匹のシュモクザメを見上げたり、何千匹ものギンガメアジの群れの中を泳いだり、20匹のアオウミガメに取り囲まれたりしました」。サラ氏はナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー・イン・レジデンスでもある。(参考記事:「ナショジオ、自然保護に貢献したエクスプローラーを表彰」)
コスタリカ政府は12月17日、太古から変わっていないようなこの手つかずの海をより強く守っていく方針を発表した。一つはココ島国立公園の拡大。1982年から海洋保護区に指定してきたが、その面積を27倍に拡大する。もう一つは新たな持続可能な海洋保護区「バイセンテニアル海洋管理エリア」の設置。拡大したココ島国立公園のさらに外側の広い海域を保護・管理しようという取り組みだ。
これにより、コスタリカ本土の面積の3倍にあたる15万9290平方キロメートルの海域が保護されることになる。結果、これまでわずか3%だった同国の海洋の保護範囲は、30%に達した。

2021年初め、世界の50カ国が、2030年までに自国の陸と海の30%を保護区とすることを宣言した。この「30 by 30」という目標は、気候変動を緩和し、生物多様性を維持するために欠かせないと、科学者たちは言う。現在、何らかの法的保護を受けているのは世界の海の8%に満たない。
豊かな自然が残る「宝島」
新たに拡大されたコスタリカの保護区の中心にあるのが、「宝島」としても知られるココ島だ(1883年出版の冒険小説『宝島』に影響を与えたとされる)。この島は同国の沖合560キロに浮かぶ孤島で、人は住んでいないが、17世紀には海賊がやってきて、「リマの財宝」と呼ばれる、現代のお金で10億ドルの価値がある略奪品を隠したと言われる。
切り立った山々とそれを覆う熱帯雨林から、映画『ジュラシック・パーク』の舞台はこの島に着想を得たものだと言う者もいる。