ブラジルの恐竜、歯がないのに肉食竜の仲間だった 歯はなぜ消えた?

肉食のケラトサウルス類ながら、歯をもたない種の発見はリムサウルス以来

2021.12.20
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歯のない恐竜ベルタサウラ・レオポルディナエ。約8000万~7000万年前、砂漠環境だったブラジル南部に暮らしていた。(ILLUSTRATION BY MAURILIO OLIVEIRA)
歯のない恐竜ベルタサウラ・レオポルディナエ。約8000万~7000万年前、砂漠環境だったブラジル南部に暮らしていた。(ILLUSTRATION BY MAURILIO OLIVEIRA)
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 ブラジル、パラナ州には「翼竜の墓」と呼ばれる土地がある。空飛ぶ爬虫類、翼竜の化石が数多く見つかっている太古の盆地だ。そのため、オウムのようなくちばしを持つ生き物の化石が発掘されたとき、また新たな翼竜が見つかったと古生物学者たちは考えた。

 ところがこの化石は、翼竜ではなく恐竜の新種と判明した。さらに不思議なことに、歯のないこの恐竜はケラトサウルス類に属している。ほぼすべての種が肉食のグループだ。(参考記事:「2021年に発見された驚異の新種恐竜10選、ヤマトサウルスも」

「今回、歯のない恐竜が見つかったことで、私たちはこのグループに属するすべての恐竜を対象に、歯を失う進化について再考する必要があります」と、この化石を発見したチームの一員であるブラジル国立博物館の館長アレクサンダー・ケルナー氏は話す。(参考記事:「最古の「恐竜の群れ」の化石を発見、1.9億年前、なぜ重要?」

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 8000万~7000万年前の白亜紀に存在したこの新種の恐竜は、ベルタサウラ・レオポルディナエ(Berthasaura leopoldinae)と名付けられ、2021年11月に学術誌「Scientific Reports」に発表された。ベルタサウラ・レオポルディナエという学名は、女性参政権を支持したブラジルの科学者ベルタ・ルッツと、ブラジル皇后になったオーストリア人で、自然科学の擁護者でもあったマリア・レオポルディナにちなむ。

「女性研究者にとって重要なメッセージであり、これらの分野、なかでも恐竜の研究に取り組みたいと考える新たな女性が現れるかもしれません」と、ブラジル、リオ・グランデ・ド・ノルテ連邦大学の古生物学者アリネ・ジラルディ氏は評価する。ジラルディ氏は今回の研究に参加していない。

 

なぜ歯がないのか

 ベルタサウラを発見した研究者たちは、この恐竜に歯がないことに気付いたとき、すぐに中国北西部で発見された歯のない獣脚類リムサウルス・イネクストリカビリス(Limusaurus inextricabilis)を思い浮かべた。1億6100万~1億5600万年前のジュラ紀に生息していたケラトサウルス類に属する恐竜だ。リムサウルスの成体と幼体の化石から、この恐竜は成熟する前に歯を失い、生え替わらなかったことがわかっている。(参考記事:「新しい恐竜化石が示す鳥類の祖先」

 一方、ベルタサウラには全く歯がなかった。

 パラナ州で発見された化石は若い個体のもので、「(口の)上部アーチに歯がないことは明らかでした」とケルナー氏は話す。「歯があるはずの場所に板状の骨がありました。それでも、下のアーチには歯があったのだろうかと私たちは思いました。そこで、CTスキャンを使い、本当に歯がなかったことを確認できました」

参考ギャラリー:決定版!奇跡の恐竜化石たち 写真23点(画像クリックでギャラリーへ)
参考ギャラリー:決定版!奇跡の恐竜化石たち 写真23点(画像クリックでギャラリーへ)
ドイツ、ベルリンにあるフンボルト博物館所蔵のティラノサウルス・レックスの頭骨。2010年に、米モンタナ州にある白亜紀後期のヘルクリーク累層で発見された全長約12メートルの化石は、発掘と復元に4年の歳月を要した。(PHOTOGRAPHY BY GERD LUDWIG)

次ページ:肉食ではなかったのか?

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