太陽によく似た恒星の手前を横切る系外惑星の想像図。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、系外惑星の構造や大気の組成をくわしく調べ、生命が居住できる惑星の要素を探る。(ILLUSTRATION BY DANA BERRY, NATIONAL GEOGRAPHIC)
太陽によく似た恒星の手前を横切る系外惑星の想像図。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、系外惑星の構造や大気の組成をくわしく調べ、生命が居住できる惑星の要素を探る。(ILLUSTRATION BY DANA BERRY, NATIONAL GEOGRAPHIC)
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 12月24日、南米大陸の北東、フランス領ギアナにある欧州宇宙機関(ESA)の打ち上げ施設から、最新の宇宙望遠鏡が打ち上げられる。ハッブル宇宙望遠鏡の後継として期待が集まるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡だ。

 地球から100万km以上離れた宇宙空間に送り出され、金色の「目」(主鏡)をハチの巣のような形に展開し、太陽系外の惑星や、初期の星や銀河を見つめることになる。

 直径6.5mになる目は、今はまだ小さく折りたたまれている。100億ドル(約1兆1400億円)をかけた輝く望遠鏡は、折りたたまないと世界最大級のアリアン5型ロケットにも載せることができない。

 打ち上げが行われるギアナ宇宙センターは、アマゾン北東部の熱帯雨林の端に切り開かれている。施設の近くの道路をジャガーが歩いていることもあれば、ロケット組み立て施設では人間たちの物音よりも熱帯の鳥たちの方が騒がしく聞こえることもある。

「私たちは、地球が生命が居住できる環境になるまでの過程を理解したいのです。液体の水からなる海や酸素がある惑星は地球だけなのでしょうか、それとも銀河系内ではごく一般的なことなのでしょうか?」と、米NASAエイムズ研究所のナターシャ・バターリャ氏は語る。

 その答えを探すため、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、数百個、もしかすると数千個の系外惑星を観測する。銀河系内ではこれまでに何千個もの様々な系外惑星が見つかっているが、そのうち太陽系の惑星と似ているものはごく一部にすぎない。(参考記事:「ここがすごい!ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」

2020年7月、カリフォルニア州にあるノースロップ・グラマン社のクリーンルームに置かれたNASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡。横にいる作業員と比較すると、その巨大さがよくわかる。(PHOTOGRAPH BY CHRIS GUNN, NASA)
2020年7月、カリフォルニア州にあるノースロップ・グラマン社のクリーンルームに置かれたNASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡。横にいる作業員と比較すると、その巨大さがよくわかる。(PHOTOGRAPH BY CHRIS GUNN, NASA)
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系外惑星からの光をとらえる

 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、主に赤外線で宇宙を観測する。その非常に高い感度を生かして、はるか彼方の、宇宙で最初に誕生した恒星や銀河のかすかな痕跡を探すだけでなく、系外惑星の直接観測も行う。

 系外惑星の観測は、この望遠鏡が構想された1989年当時は誰も想定していなかった。1992年に最初の発見が報告されるまで、系外惑星は惑星形成理論からその存在が推定されるだけの天体だったからだ。今日では、地球上の砂粒のようにありふれた存在であることが明らかになっている。

 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、コロノグラフという装置で遠方の恒星の光を遮ることで、その周りを回る惑星(や形成途中の惑星)から届くかすかな光を直接撮影することができる。また、系外惑星の大気をのぞき込み、その成分や進化の過程を解明することも可能だ。惑星が反射する光から、そこにある分子のサインを読み取ることもできる。

「系外惑星はどのようにして現在の位置に来たのでしょうか? どのように進化してきたのでしょうか? どのようなシナリオのもとで生命は誕生するのでしょうか?」と、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の系外惑星ミッションの副プロジェクトサイエンティストで、系外惑星の専門家であるNASAのニコール・コロン氏は問いかける。「これらの疑問に答えるためには、あらゆるものを調べる必要があります。太陽系の惑星の中で、生命が存在すると確定しているものは1つしかないからです」

次ページ:系外惑星の大気成分を解き明かす

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