ナポリの南西、高速船で約40分の場所に位置するプロチダ島は、2022年のイタリア文化首都(文化財や景観の充実、旅行者へのサービス向上などを目的に、イタリア文化財・文化活動・観光省によって毎年、ひとつの都市を選出)に選ばれた。
プロチダ島のテーマ「文化は孤立しない」はパンデミック前に選ばれたものだが、今となってはこれ以上ないほどぴったりの言葉だ。イタリア文化首都として世界から注目されるこの期間は、不安定な時代において文化の重要性を強調するまたとない機会になるはずだ。
「今、『文化は孤立しない』はこれまでになく強い行動喚起になります。私たちにとって、この島は現代人の象徴だからです」。プロチダ2022のディレクターを務めるアゴスティーノ・リーターノ氏はそう話す。「私たちは皆、島のような存在です。群島を形成しており、それを一つにつなぎとめているのが文化なのです。パンデミックを経た今であれば、なおさらです」
2022年4月に幕を開けたプロチダ2022は、現代アートの展示、祭典、演劇などの文化プログラムが300日間にわたって展開される。
テーマ全体の象徴として注目されているのが、パラッツォ・ダバロスだ。1500年に建てられたこのルネサンス時代の宮殿は、1988年に閉鎖されるまで刑務所として使われていた。以前は人を孤立させるために使われていた場所が、かつて囚人が作物や家畜を育てていた周囲の緑地を含めて、現在は文化施設、都市公園として生まれ変わっている。
(Photograph by Ethan Daniels, Alamy Stock Photo)
※「いつか訪れたい旅先25 2022年版 もう一度旅に出よう」ほか、旅の記事は「旅・文化の記事一覧」でまとめてご覧いただけます。
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