2021年に発見された動物、解明された新事実 12選

極小カメレオンの発見から脳が拡大・縮小するアリまで

2021.12.16
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モザンビークのゴロンゴーザ国立公園では、牙を持たないメスのゾウが増えている。内戦で密猟が増加し、多くのゾウが殺害され、生き残ったゾウから牙のないゾウが多く生まれている。(PHOTOGRAPH BY ELEPHANTVOICES)
モザンビークのゴロンゴーザ国立公園では、牙を持たないメスのゾウが増えている。内戦で密猟が増加し、多くのゾウが殺害され、生き残ったゾウから牙のないゾウが多く生まれている。(PHOTOGRAPH BY ELEPHANTVOICES)
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 新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)は、まもなく3年目に入る。気候変動がもたらす影響は、深刻さを増すばかりだ。このような状況では、科学界のニュースを読んでも気が重くなりがちかもしれない。

 それでも、私たちの地球は期待と神秘に満ちている。今年も、自然界にまつわる研究は、地球に生きる命の不思議を見せてくれた。

 この1年間に注目を集めた動物界の12の発見を紹介しよう。

希少な鳥の「処女懐胎」

 カリフォルニアコンドルは大きな鳥で、両方の翼を広げた長さは3メートル近い。20世紀半ばには、毒死、密猟、生息地の破壊によって絶滅の危機に瀕していた。この鳥を救うため、1987年に野生で生息していた22羽をすべて捕獲した。その後、飼育下で繁殖させ、米カリフォルニア州、ユタ州、アリゾナ州、そしてメキシコ、バハカリフォルニア州の一部に再導入している。現在、生息数は500羽を超えた。

 研究者たちは、その繁殖状況と遺伝子を注意深く追跡していたが、10月に、オスと交配していない2羽の母鳥から、2羽のヒナが誕生していたことがわかった。これは、カリフォルニアコンドル(おそらく他の家畜化されていない鳥でも)では初めて確認された「処女懐胎」(単為生殖)だ。こうした繁殖形態は発見や追跡が難しいものの、私たちが考えているよりも動物界では広く行われていると専門家は考えている。(参考記事:「絶滅危惧コンドルが“処女懐胎”、初確認、残り約500羽」

野生のシカなども新型コロナに感染

 新型コロナのウイルスに感染するのは人間だけではない。様々な動物も新型コロナに感染する可能性がある。

 これまでに飼育環境下にある動物で、トラ、ライオン、ゴリラ、ミンク、ユキヒョウ、イエイヌ、イエネコなどへの感染が確認された。一般に、人間以外の動物では感染しても症状は軽いとされている。

 だが、北米に生息する野生のオジロジカもウイルス感染していることが確認された。11月に論文投稿サイト「bioRxiv」に発表された論文によれば、2020年9月~2021年1月に米国アイオワ州で採取したオジロジカのサンプル(野生と飼育下を含む)の3分の1で、新型コロナウイルスが検出された。シカは人間から何度も感染し、シカからシカへ感染が広がったことが示唆されるという。2021年の前半には、米国の3つの州(ミシガン、イリノイ、ニューヨーク)で調査した152頭のシカの40%から新型コロナウイルスの抗体が見つかったという論文も発表されている。(参考記事:「野生のシカの4割に新型コロナの抗体、集団感染の可能性、米国」

 シカのような一般的な動物がウイルスを保有していると人間が再感染する恐れがあるため、研究者たちは懸念を抱いている。

世界最小の爬虫類

 2月には、マダガスカル島北部の熱帯雨林で新種のカメレオンが見つかったことが発表された。「Brookesia nana」と名付けられたこの超小型カメレオンは、ヒマワリの種ほどの大きさで、世界最小の爬虫類である可能性がある。

 このような小さな爬虫類の発見は、脊椎動物の小型化の限界に関する興味深い問いを投げかけた。また、マダガスカル島の驚くべき生物多様性と、環境破壊の脅威も注目された。発見者たちは、このカメレオンが、まもなく国際自然保護連合(IUCN)の近絶滅種(critically endangered)に指定されるだろうと考えている。(参考記事:「指先に乗る超小型の新種カメレオン、世界最小の爬虫類か」

マダガスカル島北部で新たに発見された爬虫類、Brookesia nanaは、世界最小の爬虫類の可能性がある。(PHOTOGRAPH BY FRANK GLAW, ZOOLOGISCHE STAATSSAMMLUNG MÜNCHEN)
マダガスカル島北部で新たに発見された爬虫類、Brookesia nanaは、世界最小の爬虫類の可能性がある。(PHOTOGRAPH BY FRANK GLAW, ZOOLOGISCHE STAATSSAMMLUNG MÜNCHEN)
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