カナダのニューブランズウィック州を流れるネピシグイット川に沿って延びる道は、先住民たちが何千年も使ってきた移動路だった。現在は、約150キロに及ぶハイキングコースや、キャンプ場などが整備されている。(PHOTOGRAPH BY ANDREW HERYGERS)
カナダのニューブランズウィック州を流れるネピシグイット川に沿って延びる道は、先住民たちが何千年も使ってきた移動路だった。現在は、約150キロに及ぶハイキングコースや、キャンプ場などが整備されている。(PHOTOGRAPH BY ANDREW HERYGERS)

 カナダ東部のニューブランズウィック州、ネピシグイット滝の近くに、カメのような形をした岩がある。北米先住民のミクマク族には、この岩「エゴモカセグ」にまつわる伝説がある。「カメが完全に川から出たときが、ミクマク族にとっての世界の終わりなのです」

 川の水位が下がると、この岩が川から上がってくるように見えるのだと、トレイルに精通しているジェイソン・グラント氏は話す。同氏の義理の父親がミクマク族の長老として、この伝説を語り継いでいた。グラント氏は毎年この岩を訪れているが、「カメ」が地面に上がってくるのはまだまだ先のことになりそうだという。

 ネピシグイット滝は、大昔から使われてきたカナダの先住民の移動ルート上にある。これを整備した道が、カナダ沿海州で一番長いバックカントリーのハイキングコースになっている。「サンティエ・ネピシグイット・ミクマク・トレイル」は、ネピシグイット川に沿って約150キロにわたって続く起伏の多い道で、もともとは遊牧を行っていたミクマク族の移動路だった。

 この道は、ニューブランズウィック州バサーストの海辺にあるデイリー・ポイント自然保護区から始まり、同州のマウント・カールトン州立公園内のバサースト湖まで続く。この州立公園内にそびえる標高約820メートルのカールトン山は、カナダ沿海州の最高峰だ。

 2018年に完了したこの道の修復作業では、ミクマク族とこの道とのつながりを感じてもらえるように、ティピーと呼ばれる先住民のテントに泊まれるキャンプサイトや、エゴモカセグをモチーフとしたカメのロゴなどが作られ、ミクマク族の言語や文化に触れられるようになった。

ギャラリー:いつか訪れたい旅先25 2022年版(画像クリックでギャラリーページへ)
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(PHOTOGRAPH BY YOMIURI SHINBUN,AP)
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