ナミビアと言えば、広大なナミブ砂漠や乾いた山々を思い浮かべるかもしれない。しかし、ナミビア北部から東に細長く突き出た領土「カプリビ回廊」は、緑豊かな野生の宝庫だ。オカバンゴ川やクアンド川、チョベ川、ザンベジ川が、動物たちにとっての理想郷をつくり出している。
この一帯では、20世紀後半を通して激しい軍事活動が繰り広げられた。僻地で不便な場所だったため、さまざまな武装勢力がここを利用したためだ。しかし、1990年にナミビアが独立すると、徐々に平和が戻り、野生動物たちも帰ってきた。
この回廊の東側に位置するンカサ・ルパラ国立公園は、まさに隠れた宝石だ。近年になってレンジャーの駐在所や宿泊施設ができ、観光しやすくなったものの、訪れる人はまだまだ少ない。クワンド・リニャンティ川系を擁するンカサ・ルパラは、ナミビア最大の保護された湿地帯だ。
有名なボツワナのオカバンゴ・デルタと同じように氾濫することから、「ミニ・オカバンゴ」とも呼ばれている。ナミビア最大のアフリカスイギュウの生息地でもあり、ライオンやヒョウ、ハイエナといった肉食動物も見られる。川には、たくさんのワニやカバが生息している。
回廊の西側にあるマハンゴ・ゲーム・パークには、湿地帯やモパネ(マメ科の樹木)の森がある。ゾウやカバ、ワニの群れを見ることができるほか、半水生のシタツンガを含め、ナミビアにいるアンテロープの仲間がほぼすべて揃っているのも特徴だ。
(PHOTOGRAPH BY LUPENGYU, GETTY IMAGES)
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