バイカル湖はあまりに広大で深いため、地元の多くの人々が「海」と呼んでいる。面積は3万平方キロメートルを超え、平均の深さは744メートル。まさに自然の驚異と呼ぶにふさわしい。
そんな自然の驚異が、深刻な問題に直面している。バイカル湖は1996年にユネスコの世界遺産に登録されたにもかかわらず、現在も汚染が進んでいる。近年は政府の保護が弱まり、大規模な観光開発などの新たな脅威も浮上している。その結果、国際自然保護連合(IUCN)による2020年の「世界遺産展望」(World Heritage Outlook)で「深刻な懸念」という表現が使われるまでになっている。
バイカル湖の周辺には、ツンドラ、ステップ、寒帯林、手つかずの湖畔など、多様な環境が広がる。観光客も、湖と周辺地域の自然保護に貢献できる。たとえば、湖周辺のハイキングコースを整備している非営利環境団体「グレート・バイカル・トレイル」でのボランティア活動だ。同団体の理事長、エレナ・チュバコワ氏は、「ボランティア活動によるエコツーリズムのインフラ整備は、バイカル湖の自然保護につながります」と話している。
バイカル湖には、世界唯一の淡水アザラシであるネルパ(バイカルアザラシ)をはじめ、ここでしか見ることができない1200種類の動植物が生息する。ハイキングなら、地球にやさしい形でそのような生物に出会うことができる。
(PHOTOGRAPH BY PAUL A. SUTHERLAND, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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