バルバドスがエリザベス女王の君主制を廃止、英連邦の歴史

英連邦王国ではなくなるが、英連邦には加盟し続ける、どういうこと?

2021.11.28
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1966年9月6日、ロンドンで開催された英連邦首相会議の集合写真。加盟国の首脳たちは、現在も、隔年で首脳会議を開催している。(PHOTOGRAPH BY ROGER JACKSON, CENTRAL PRESS/GETTY IMAGES)
1966年9月6日、ロンドンで開催された英連邦首相会議の集合写真。加盟国の首脳たちは、現在も、隔年で首脳会議を開催している。(PHOTOGRAPH BY ROGER JACKSON, CENTRAL PRESS/GETTY IMAGES)

 ところが、第一次世界大戦後、英国と共に戦ってきた自治領で独立主義が台頭し、自治権以上を要求する動きが激しくなった。1926年、英国と各自治領は、「君主への共通の忠誠によって結ばれた」対等な立場であることに合意した。この宣言は、1931年のウェストミンスター憲章で正式なものとされ、ここに「英連邦(British Commonwealth of Nations)」が正式に誕生した。

現在の形への歩み

 だが、この英連邦が現在の形に進化するには、さらに20年の歳月を要した。この進化に大きな影響をもたらしたのは、インドの独立運動だった。インドは、1926年の交渉に参加していたが、英国を君主国として引き続き承認する協定には調印しなかった。逆にインドでは、植民地支配からの完全な独立を求める運動が、マハトマ・ガンジー主導のもとで展開された。

 1947年、インドはついに英国からの独立を勝ち取ったが、英国と完全に断絶することはできなかった。主権国となったインドは、2年後に条件付きで英連邦への加盟を求めた。

 その条件とは、インドは英国王ジョージ6世を英連邦の長としては認めるものの、国王への忠誠を誓わない、つまりインドの君主とはせずに加盟するという内容だった。

1961年1月頃、インドのニューデリーで市民から歓迎を受けるエリザベス女王とエジンバラ公。インドは英国君主に忠誠を誓っていないが、女王を英連邦の長として認めている。(PHOTOGRAPH BY POPPERFOTO VIA GETTY IMAGES, GETTY IMAGES)
1961年1月頃、インドのニューデリーで市民から歓迎を受けるエリザベス女王とエジンバラ公。インドは英国君主に忠誠を誓っていないが、女王を英連邦の長として認めている。(PHOTOGRAPH BY POPPERFOTO VIA GETTY IMAGES, GETTY IMAGES)

 インドのネルー首相は、インド議会で、この決定について次のように説明した。「今日の世界では、非常に多くの破壊的な動きが生じており、私たちは幾度となく戦争の危機にさらされています。すでに構築した同盟関係から離脱することは、安全ではないと考えています」

 この条件に同意した加盟国は、1949年に「ロンドン宣言」を発表し、インド、パキスタン、セイロン(現在のスリランカ)を「自由で対等な加盟国」として受け入れた。ロンドン宣言によって英連邦は改革された。名称はBritish Commonwealth of NationsからBritishが取れてCommonwealth of Nationsとなり、英国君主への忠誠を誓うことなく独立国家が加盟できる組織になった。

(Rosemary Wardley, NGM Staff. Source: The Commonwealth)
(Rosemary Wardley, NGM Staff. Source: The Commonwealth)
(Rosemary Wardley, NGM Staff. Source: The Commonwealth)
(Rosemary Wardley, NGM Staff. Source: The Commonwealth)

54カ国が加盟

 現在、英連邦には54カ国が加盟し、貿易、環境保護、教育などに関する問題に取り組んでいる。加盟国は互いに義務を課せられることはないが、共通の価値観に基づいて団結しており、とりわけ、旧英国植民地としての歴史が強い絆となっている。

 結成から70年以上が過ぎ、加盟国の顔ぶれも大きく変化した。アイルランドは、1949年に正式に共和国となって脱退した。また、フィジーやナイジェリアなどは、独裁体制が敷かれていた間、一時的に離脱した。モザンビークとルワンダは、大英帝国と歴史上のつながりはないが、それぞれ1995年、2009年に加盟した。両国は、加盟によって外交上、経済上の利益が得られることを期待している。

次ページ:加盟国はこうして増えてきた

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