プランクトンのミクロな映像がすごい、ミジンコの出産シーンまで

闇にうごめく地球のものとは思えない生物が次々に、短編映画『プランクトニアム』

2021.11.22
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
単細胞性の藻類であるオウギケイソウの1種リクモフォラ・フラベラータ(Licmophora flabellata)の群体。海藻の表面に付着していることが多い。(PHOTOGRAPH BY JAN VAN IJKEN)
単細胞性の藻類であるオウギケイソウの1種リクモフォラ・フラベラータ(Licmophora flabellata)の群体。海藻の表面に付着していることが多い。(PHOTOGRAPH BY JAN VAN IJKEN)
[画像のクリックで拡大表示]

 地球上のどこでもコップ1杯の水をすくえば、プランクトンと呼ばれる不思議で魅惑的な生命体を見つけることができる。淡水でも海水でもかまわない。1滴の水の中には、鮮やかな色をした塊から、触手や巨大な目をもつ小さなモンスターまで、多くの人が見たことのない微細な生命が息づいている。

 オランダの映像作家で写真家のヤン・ファン・エイケン氏は、3年前から、知られざるミクロの世界の美しさに光を当ててきた。オランダ中を旅しながら、さまざまな水域で網を振ってプランクトンを採集しては、顕微鏡のスライドガラスに散りばめられた小さな宝物の姿をコマ撮り写真や動画におさめた。

「プランクトンは信じられないほど多様で、信じられないほど豊富に存在しています」とファン・エイケン氏は語る。「採集網で1回水をすくうと、その中のプランクトンを何週間でも撮影できます」

 ファン・エイケン氏が制作した15分間の新作アート映画『プランクトニアム(Planktonium)』(外部サイト「Vimeo」)の本編は、11月15日から動画共有サイト「Vimeo」で有料配信されている。

胚(発生初期の個体)が体内にいるミジンコの仲間。(PHOTOGRAPH BY JAN VAN IJKEN)
胚(発生初期の個体)が体内にいるミジンコの仲間。(PHOTOGRAPH BY JAN VAN IJKEN)
[画像のクリックで拡大表示]

 プランクトンという言葉は「漂流者」や「放浪者」を意味する古代ギリシャ語に由来する。専門的には、自由に遊泳する能力が全くないか弱く、水中を浮遊する生物はすべてプランクトンである。そのため、白血球ほどのサイズの小さな単細胞生物から、35m以上にもなるキタユウレイクラゲまで、さまざまな大きさのプランクトンがいる。

 プランクトンには良質なPRが必要だ。専門家によると、プランクトンは生態系を健全に保つのに欠かせない存在であるからだ。(参考記事:「生命の不思議、プランクトンの世界」

 プランクトンは「植物プランクトン」と「動物プランクトン」の2つに大別され、植物プランクトンは光合成によって、地球上の全植物を合わせたのと同じ量の酸素を生み出している。「私たちが呼吸する酸素の約50%は、植物プランクトンによって作られています」と英海洋生物学会の上級プランクトンアナリスト、マリアン・ウートン氏は説明する。「つまり、私たちは2回に1回はプランクトンが作った酸素を吸っているのです」

 酸素を作るだけでなく、植物プランクトンは二酸化炭素を消費するので、気候変動の原因となる温室効果ガスの重要な吸収源としても機能しているとウートン氏は言う。「プランクトンは、海に限らず地球にとっても隠れたヒーローなのです」

次ページ:『プランクトニアム』予告編の映像

おすすめ関連書籍

Jewels in the night sea 神秘のプランクトン

夜の海にあらわれた、美しい浮遊生物。眼には見えないきわめて小さな姿をカメラで覗いてみれば、姿も、色も、生態も、うっとりするほどの世界。28年間、海の神秘を撮る男の渾身の写真集です。

定価:2,970円(税込)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加