気候変動にどう立ち向かう? COP26で問われていること

削減目標を引き上げるだけでは不十分、課題は実行力

2021.11.03
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フランス、リヨンの上空に広がる大気汚染。10月31日から11月12日まで英スコットランドのグラスゴーで開催される国連の気候変動会議は、温暖化を抑えるための行動を世界レベルで加速させることを目的としている。(PHOTOGRAPH BY PHILIPPE DESMAZES, AFP, GETTY IMAGES)
フランス、リヨンの上空に広がる大気汚染。10月31日から11月12日まで英スコットランドのグラスゴーで開催される国連の気候変動会議は、温暖化を抑えるための行動を世界レベルで加速させることを目的としている。(PHOTOGRAPH BY PHILIPPE DESMAZES, AFP, GETTY IMAGES)
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 英スコットランドのグラスゴーで、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催中だ。2021年11月12日まで2週間にわたり、世界の首脳や担当者が気候変動に対処するための戦略を策定する。議長国の英国と準備会議を主催したイタリアは、気温上昇を1.5℃未満に抑えるための具体的な計画を策定するよう参加国に働きかけることになる。

CO2排出の余地は限られている

 地球が温暖化しているという事実はかつてないほど明らかだ。

 19世紀の産業革命前と比較して、地球の気温は1℃以上高くなった。熱波や干ばつなどの異常気象は激しさを増し、海面の上昇など人間の時間尺度では元に戻せない変化が連鎖的に引き起こされている。

 2021年8月に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した報告書は、こうした変化の原因は人間にあり、温室効果ガスの排出量を削減するために早急かつ大規模な対策を講じなければ、さらに深刻な結果になるとはっきり示した。(参考記事:「気候変動、IPCCの最新報告書を解説、私たちの未来はどうなる?」

 (Diana Marques, NGM Staff  Source: Our World in Data)
(Diana Marques, NGM Staff Source: Our World in Data)

 IPCCの報告書では、2°Cの気温上昇は1.5°Cの場合と比べて指数関数的に大きな影響を及ぼすことが示されている。また、かつては平均して50年に1度発生していた激しい熱波が、すでに5倍の頻度で発生しているという。

 究極の解決策は、化石燃料の燃焼などによる温室効果ガスの排出をやめ、すでに始まっている避けられない影響に対処することだ。IPCCは残された「カーボンバジェット(炭素予算)」を示した。全体の温暖化を1.5℃または2℃未満に抑えながら、大気中に放出できる炭素の残量だ。

 残された「予算」は、非常に厳しい数字だ。気温上昇を1.5℃未満に抑えられる確率を50%にするには、2020年以降の二酸化炭素(CO2)排出量を5000億トンに抑えなければならない。現在の排出ペースのままなら約12年分しかない。

米国は責任を果たしているか?

 19世紀以降に人類が大気中に放出した炭素のうち25%以上は米国が排出している。米国の排出量は現在、着実に減少しているが、それでも国別の温室効果ガス排出量では上位だ。

 トランプ前政権が、国際枠組み「パリ協定」から離脱し、国内の多くの排出削減政策を後退させたことで、米国の国際的な信頼は大きく失われた。バイデン現政権はパリ協定に復帰したものの、世界はもはや米国やその約束を信頼できるとは考えていない。

 米国は、表向きには高い目標を掲げている。2030年までに排出量を2005年比で50〜52%削減するとしており、バイデン大統領は2050年までに排出量の実質ゼロを目指すとも表明した。その目標達成に向けた政策は現在、米議会で審議中の2つの法案に盛り込まれているものの、党派政治に巻き込まれてしまっている。

「米国が議会で身の丈にふさわしい規模の政策を通過させられないのは、(COPにとって)片手を後ろで縛られているようなものです」と、米タフツ大学フレッチャー・スクール(法律外交大学院)の学長を務める気候政策の専門家レイチェル・カイト氏は話す。「排出量の多い国が連携してリーダーシップを取ることを邪魔し、最悪の場合は遅らせることになります」

次ページ:そもそもCOPとは?

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