絶滅危惧コンドルが“処女懐胎”、初確認、残り約500羽

飼育下のカリフォルニアコンドル、野生で行うかは不明

2021.11.01
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カリフォルニアコンドルは、1980年代に絶滅間際まで追いやられたが、現在は緩やかな増加傾向にある。(PHOTOGRAPH BY ZSSD, MINDEN PICTURES)
カリフォルニアコンドルは、1980年代に絶滅間際まで追いやられたが、現在は緩やかな増加傾向にある。(PHOTOGRAPH BY ZSSD, MINDEN PICTURES)
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「コンドルのデータが何かおかしいです」

 カリフォルニアコンドルの保護に向けた長い一日の作業を終え、車に向かっていたオリバー・ライダー氏にとって、それはうれしい言葉ではなかった。しかし、同僚のレオーナ・チェムニック氏が詳しく説明すると、すぐに不安は期待に変わった。

 血統番号SB260とSB517という2羽のオスの遺伝子を詳しく調べてみたところ、父親となったはずの鳥の遺伝子を受け継いでいなかった。つまり、この2羽は“処女懐胎”(単為生殖)で誕生していたのだ。カリフォルニアコンドルの単為生殖をはじめて確認したこの研究結果は、10月28日付けの学術誌「Journal of Heredity」に発表された。

 カリフォルニアコンドル(Gymnogyps californianus)は、地球上で特に絶滅の危険性が高い動物の一つで、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで近絶滅種(critically endangered)に指定されている。彼らを絶滅の淵から救う取り組みは、数十年にわたって続けられている。

 1982年の時点で、カリフォルニアコンドルの生息数はわずか22羽だったが、2019年には500羽以上まで回復した。飼育した個体を自然に放す活動が徐々に功を奏したおかげだ。

 そのためには捕獲した鳥を慎重に育てる必要がある。特に、どのオスとメスに繁殖させれば健全な子どもが育つかという判断は重要であり、遺伝子が詳しく調べられているなか、今回の発見がもたらされた。

 通常は有性生殖を行う動物でこのような単為生殖が起こるのは、メスの卵子とともに作られる特定の細胞が精子のように卵子と融合するからだ(編注:コンドルでは2セットある染色体が同じになるのがオスのため、単為生殖であればオスが生まれる)。

 単為生殖は、脊椎動物ではまれだが、サメやエイ、トカゲなどで見られる。また、シチメンチョウ、ニワトリ、ヒメウズラなどのメスをオスのいない環境に置いた場合に起きることも確認されている。(参考記事:「動物の“処女懐胎”、なぜできる? ヒトではなぜ無理なのか」

次ページ:どちらのメスもオスと一緒に飼育されていた

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