モザンビークのポンタ・ド・オウロ海洋保護区を泳ぐハンドウイルカ。ハンドウイルカは、いま最も研究が進んでいるイルカだ。 (PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
モザンビークのポンタ・ド・オウロ海洋保護区を泳ぐハンドウイルカ。ハンドウイルカは、いま最も研究が進んでいるイルカだ。 (PHOTOGRAPH BY THOMAS P. PESCHAK, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 イルカが非常に賢いことは周知の事実だ。事実、毎年のように、これまで知られていなかった興味深い行動が確認される。高い知能を駆使して生き抜くイルカは海洋生物学者たちを今も驚かせている。(参考記事:「2015年5月号 イルカと話せる日は来るか」

 体重が50キロほどの小さなセッパリイルカや150キロになるカマイルカなど、日本でイルカと呼ばれる動物は約40種いる。どのイルカも知恵を絞っているのは、魚を捕らえる方法だ。

 最も詳細に研究されているハンドウイルカ(バンドウイルカとも)は、「泥の輪漁」など優れた漁業テクニックを進化させてきた。イルカたちは、尾びれを力強く振りながら円を描いて泳ぎ、魚の群れを泥の渦巻きの中に囲いこむ。巻き上げられた泥の煙幕は、魚にとっては通過できない壁のように見えるので、パニックに陥った魚は、水面に飛び出して壁を乗り越えようとする。もちろん、越えた先に待ち構えているのは、お腹をすかせたイルカの大きな口だ。

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「泥の輪漁」は、米国フロリダ沖に生息するハンドウイルカの少数の群れに特有のテクニックとされてきた。しかし、「Marine Mammal Science」誌に発表された最近の研究では、この行動は今まで考えられていたよりも広範囲で見られることが明らかになった。「ベリーズとメキシコでも確認されています」と話すのは、論文の筆頭著者である米ニューヨーク市立大学の海洋生物学者エリック・ラモス氏だ。

 イルカがフロリダからカリブ海へ、またはその逆方向に「泥の輪漁」を伝えることは、理論上は可能だろう。でも、実際には、類似の生息環境に暮らす別々のイルカの個体群が、それぞれに同一の戦略を生み出したと、ラモス氏は考えている。

「本当にすばらしいことです」とラモス氏は言う。だが、イルカたちが生きるために編み出したテクニックは、この「泥の輪漁」だけではない。イルカたちは、ほかにも多くの優れた方法を駆使している。いくつか紹介しよう。

【参考ギャラリー】近い! 優雅で楽しげなイルカたち 写真10点(画像クリックでギャラリーページへ)
【参考ギャラリー】近い! 優雅で楽しげなイルカたち 写真10点(画像クリックでギャラリーページへ)
行動研究の一環として、ホンジュラス、ロアタン島の研究所で飼われているハンドウイルカ(Tursiops truncatus)たち。(PHOTOGRAPH BY BRIAN J. SKERRY, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

次ページ:エサで遊びながら漁をする?

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