圧倒的な車社会の米国で、自転車利用者が増えている、コロナ影響

「自転車で移動」がわずか1%の国で進む、自転車レーンの整備

2021.11.02
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ニューヨーク市内で自転車に乗る人びと。2021年4月6日撮影。現在米国の多くの街で、自転車がより安全に走れる道にするための取り組みが進められている。(Photograph by Ed Jones, AFP/Getty Images)
ニューヨーク市内で自転車に乗る人びと。2021年4月6日撮影。現在米国の多くの街で、自転車がより安全に走れる道にするための取り組みが進められている。(Photograph by Ed Jones, AFP/Getty Images)
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 ここ1、2年で自転車に乗っている人が増えたように感じるとしたら、それは気のせいではない。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)の間に自転車利用者の数が激増し、数年ぶりに自転車に乗ったという米国人も多い。この傾向は、今後長く続くのだろうか?(参考記事:「ポスト・コロナ時代 通勤や交通は変わるのか」

 さまざまな理由で、これは望ましい傾向だ。米国における温室効果ガスの最大の排出源は交通機関であり、そのなかでも乗用車と小型トラックが58%を占めているからだ。自動車を自転車に乗り替えれば、電気自動車に替えるよりずっと早く排出を削減できる。

 また米国では、自動車やバイクによる交通事故で1年に3万9000人(うち自転車に乗っていた700人以上)もの人が亡くなっている。

自転車フレンドリーではない国、米国

 米国が自転車フレンドリーな国でないことは明らかだ。米国人が通勤や買い物、休みの日などに使う移動手段のなんと87%が乗用車や小型トラックで、自転車が占めるのはたった1%に過ぎない。

 米国の自転車使用に関するデータを収集している非営利組織、全米サイクリスト同盟(LAB)によれば、米国人が1年間に自転車に乗る回数は、パンデミックが発生するまでの数年間、減り続けていた。自転車で通勤する人の数は、2014年の約90万人から2019年には80万人強にまで減少した。これは全通勤者のうちの約0.5%だ。

「通勤をする人の割合が減る一方で、自転車に乗っていて事故で亡くなる件数が増えていたのです」と、LABの政策責任者であるケン・マクラウド氏は話す。

 これに比べて、たとえばオランダでは、自転車通勤者の割合は27%に上る。しかし、オランダの街が昔から自転車フレンドリーだったわけではないと言うのは、米ラトガーズ大学の都市計画名誉教授で、自転車使用を専門とするジョン・パチャー氏だ。

「米国人は、『ヨーロッパは昔から自転車天国なんでしょ』というようなイメージを持っています。でもそれはまったくの誤解です」と、パチャー氏はナショナル ジオグラフィックのポッドキャスト「Overheard」のインタビューで語った。

 もしも今、ヨーロッパのどこかの街が自転車天国のように見えるとしたら、それは人びとが何十年も、都市の中に車と別の自転車専用のスペースを作ることを強く求めてきたからだと氏は言う。そして現在、米国にも同様の動きが始まっているところがある。(参考記事:「地球にやさしい都市設計で自転車中心の街に、コペンハーゲン」

次ページ:「自転車天国」への道のり

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