近ごろ、世界旅行にはまっている。
と言っても、自宅から遠く離れた場所で目を覚ますわけでもなければ、国境を越えて世界各地にいる親戚を訪ねることが簡単になったわけでもない。(参考記事:「195カ国を旅行した初の黒人女性がコロナ下で考えること」)
以前とは状況が変わった今、私(筆者のJordan Salama氏)の毎日の旅行はこんな風に始まる。家族が誰も起きていない朝早くか夜遅い時間、ときに自宅の食卓に座り、マテ茶を用意して、ラジオをつける。選ぶのは、自宅があるニューヨーク以外のラジオ局だ。ほとんどの場合、「Radio Garden」という魔法の世界から選ぶ。
Radio Garden(外部リンク)は、無料のウェブサイトだ。デジタルの地球儀が回転する画面は、無数の緑色の点が表示されていることを除けば、Google Earthにそっくりだ。この緑の点ひとつひとつが、リアルタイムで放送しているローカルラジオ局を表している。
マウスを動かしてみよう。たどり着くのは、東アフリカの国ブルンジのブジュンブラかもしれない。あるいは、インドのディブルガルや、ノルウェーの北極圏や、南太平洋の果てかもしれない。ラジオ局が大きくても小さくても、都会でも人里離れた場所でも、オンラインで信号を送ってさえいれば、このサイトに表示され、誰でも聴くことができる。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって以来、私たちはリモートで世界と関わる方法を模索し続けている。
たとえば、「View From My Window」(私の窓からの景色)というFacebookグループ。メンバーが世界中の自宅から写真を投稿するグループで、約250万人が参加している。バーチャルリアリティを活用した旅行への関心も高まっている。手紙などの昔ながらのコミュニケーションも、特にロックダウンの初期に人気だった。(参考記事:「コロナ禍が続く中、クルーズ船はなぜ運航を再開するのか」)
生放送されるラジオを聴くことほど、簡単にその土地に親しみを感じる方法はないだろう。Radio Gardenは、パンデミックの間に人気を集め、時には月間リスナー数が1500万人に達するほどになった。現在はアプリとしても提供されている。
「パンデミック以来、アクセス数は増加傾向にあります。また、ロックダウンが行われている国からのアクセスが急増するという現象も見られます」と話すのは、このサイトの創設者であるジョナサン・パッキー氏だ。「家から出ることができない人たちから、心温まる感謝のメールをたくさんいただいています」