コロナワクチンの混合接種は安全? 効果は? 今わかっていること

異なるメーカーのワクチン接種、追加接種の結果を米国研究所が発表

2021.10.19
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2021年8月19日、エクアドルのグアヤキルで、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製ワクチンの接種を行う医療スタッフ。エクアドルでは、10月中旬時点で国民の約56%が必要な回数の接種を完了した。現在、政府は2回目接種の拡大に取り組んでいる。(PHOTOGRAPH BY MARIANA MILLER, AGENCIA PRESS SOUTH, GETTY IMAGES)
2021年8月19日、エクアドルのグアヤキルで、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製ワクチンの接種を行う医療スタッフ。エクアドルでは、10月中旬時点で国民の約56%が必要な回数の接種を完了した。現在、政府は2回目接種の拡大に取り組んでいる。(PHOTOGRAPH BY MARIANA MILLER, AGENCIA PRESS SOUTH, GETTY IMAGES)
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 新型コロナウイルスの予防接種を受ける場合、異なるメーカーのワクチンを続けて接種してもいいのだろうか? この「混合接種」の問題に、医療関係者たちは新型コロナワクチンの接種が開始される前から関心を寄せてきた。これは学問上の論点にとどまらない。混合接種が可能であれば、ワクチンの供給が格段に向上し、医療上もある程度のメリットが得られるかもしれないからだ。

 米国立衛生研究所(NIH)は、追加接種(ブースター接種)における混合接種の効果と安全性に関する予備的な研究の結果を、査読前の医学論文を公開するサイト「medRxiv」に10月13日付けで公開、これについて15日、米食品医薬品局(FDA)のワクチンなどに関する諮問委員会が審議した。この研究は非常に小規模ではあるものの、混合接種が有効かつ安全であることを示唆している。

 混合接種がFDAに承認されたら、全米で接種の後押しになるだろうと、米ベイラー医科大学(テキサス州)の分子ウイルス学・微生物学・小児科学教授ペドロ・ピエドラ氏は期待する。「製薬会社はいつ何時でも、汚染問題や原料不足といった製造上の問題に直面する可能性があります。ですから、選択肢があるのはありがたいことです」

 医師や薬剤師にとってもメリットになると言うのは、米メイヨー・クリニックのプライマリーケア予防接種プログラムのメディカル・ディレクター、ロバート・M・ジェイコブソン氏だ。「1回目の接種を済ませた人に、メーカーを問わず次のワクチンを接種できることになるため、医療スタッフは一部の患者を追い返す必要がなくなります」。また、開封したワクチンを余すことなく接種できるので、ワクチンの廃棄を減らすことができると氏は言う。

 世界に目を向けると、混合接種に肯定的な科学的根拠があれば、国内にワクチンの在庫がない低所得国の多くにとって大きな恩恵となる。こうした国々では、支援団体または寄付によって提供されたワクチンが何であろうと、その都度接種できることになるだろう。1回目の接種率が全体で2.7%にとどまっている低所得国では、混合接種が可能になることは特に重要な進展となる。

英国の大規模な混合接種データ

 英オックスフォード大学の研究者らは、まだ英国内でワクチンが承認されていなかった2020年後半に早くも、新型コロナワクチンの混合接種に関する臨床試験(治験)を実施した。「Com-COV」と名付けられたこの研究では、英アストラゼネカとオックスフォード大学、米ファイザーとドイツのビオンテックがそれぞれ共同開発したワクチンの混合接種を調査した。

 830人を対象に、アストラゼネカ製またはファイザー製のワクチンを、同一のメーカーで2回接種、または異なるメーカーを組み合わせた混合接種を行ったところ、いずれも一定のレベルを上回り十分な免疫反応が得られた。結果は2021年8月6日付けで医学誌「The Lancet」に掲載された。

 最も強い免疫反応が得られたのは、1回目にアストラゼネカ、2回目にファイザーのワクチンを接種した対象者であり、新型コロナウイルスと闘う力を示す「抗体価」と、ウイルスが体内で広がるのを阻止する役割を担う「T細胞応答」が最も高くなった。

 この2つの免疫反応のどちらがより重要なのかはまだわかっていないと、オックスフォード大学のワクチン学者でCom-COV治験の総括医であるマシュー・スネイプ氏は話す。また、接種から数カ月後もこの効果が維持されるかどうかも研究中で、初回接種の半年後に新たに採取した血液サンプルを調査しているところだという。

次ページ:混合接種の安全性は?

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