なんと砂漠に世界一の多様性、約500種もハナバチが生息、なぜ?

8万点採取の長期研究で判明、希少種も、米メキシコ国境

2021.10.02
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単独生活を送るハナバチSvastra duplocincta。オスは夜になると植物に集まり、落ちないように大顎でしがみ付いて眠る。(PHOTOGRAPH BY BRUCE D TAUBERT)
単独生活を送るハナバチSvastra duplocincta。オスは夜になると植物に集まり、落ちないように大顎でしがみ付いて眠る。(PHOTOGRAPH BY BRUCE D TAUBERT)
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 米国アリゾナ州南東部とメキシコ、ソノラ州にまたがるチワワ砂漠のサンバーナーディーノ・バレーは生命のオアシスだ。夏の終わりにモンスーンの豪雨に見舞われると、花が咲き乱れ、ハナバチが群がる。昆虫学者で米ロチェスター大学の教授であるボブ・ミンクリー氏は、ここがハナバチの種類が世界で最も豊富な場所であることを明らかにした。

 ミンクリー氏とサンバーナーディーノ米国立野生生物保護区のマネージャー、ビル・ラドキー氏が4月、学術誌「Journal of Hymenoptera Research」に発表した論文によれば、サンバーナーディーノ・バレーのわずか16平方キロ余りに497種のハナバチが生息しているという。16平方キロはこのような調査にしては控えめな面積で、首都ワシントンD.C.の約10分の1だ。

 ミンクリー氏らは一帯に種がとても多いことを知ってはいたものの、それでもこの結果に驚かされた。「一帯のハナバチの密度は天文学的に高く、入念に研究された世界のどの地域もはるかに上回っています」とミンクリー氏は語る。

 米国では4000種近くのハナバチが確認されており、497種はその14%に相当する。ニューヨーク州(他の大半の州もだが)全域で確認されている数より多い。

 ハナバチのホットスポットはほかにもある。例えば、ユタ州のグランド・ステアケース=エスカランテ国定公園には660種のハナバチが暮らす。ただし、生息範囲は約7700平方キロで、サンバーナーディーノで調査された面積の約480倍だ。

 ミンクリー氏は自身の研究をきっかけに、サンバーナーディーノ・バレーの重要性、そして、地球上に約2万種いるハナバチの多様性を人々に認識してもらいたいと期待している。

「彼らは地球上で最も重要な生物のグループのひとつである、花を咲かせる植物の授粉を行っています。おかげで生態系が機能するため、彼らは人にとっても重要な存在です」

ハナバチのホットスポット

 サンバーナーディーノ・バレーはいわゆる化石水に支えられている。何千年という時間をかけて、チリカウワ山脈から南に水が浸透し、コットンウッドの木と数百種の草花が生い茂る池や小川を満たしてきた。ピューマ、ボブキャット、ペッカリーなどの大型哺乳類が大地を歩き回り、希少な鳥が飛来するため、バードウォッチングの人気スポットでもある。アリゾナ州側にはサンバーナーディーノ・バレー国立野生生物保護区があり、国境地帯の自然保護に取り組む団体クエンカ・ロス・オジョスがソノラ州側の大部分を所有している。

次ページ:多彩なハナバチたち

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