カナダ政府がホエールウォッチングの規制を強化 現地の声は様々

シャチやザトウクジラの保護を目的とした新規則、ホエールウォッチングにどう影響?

2021.09.28
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カナダ、マニトバ州のハドソン湾を泳ぐシロイルカ。カナダでは最近、海洋哺乳類に関する規則が変更され、ボートはクジラ類から遠く離れなければならなくなった。(PHOTOGRAPH BY KIKE CALVO, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
カナダ、マニトバ州のハドソン湾を泳ぐシロイルカ。カナダでは最近、海洋哺乳類に関する規則が変更され、ボートはクジラ類から遠く離れなければならなくなった。(PHOTOGRAPH BY KIKE CALVO, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 カナダ、マニトバ州チャーチル近郊のハドソン湾で、ウエットスーツを着た3人の旅行者がゴムボートにつながれたフロートの上でうつぶせになっている。3人はボートに引かれながら、スキューバマスクを装着した顔を極寒の海に入れ、シロイルカが海中からこちらを見つめ返してくれるのを待っているのだ。

 このシロイルカを見るアクアグライディングツアーはクジラに優しいアクティビティで、2018年、カナダ政府が海洋野生生物を保護するための厳格な新規則を施行してから、観光業界が考え出した次善策の一つだ(編注:イルカとクジラに生物学的な違いはなく、いずれもクジラ目に分類されている)。

 カナダ政府は、人とクジラの交流を断つことを目的に規制を強化している。海水温の上昇、餌の供給不足、海上交通の増加が原因で、多くのクジラが絶滅の危機にさらされているからだ。新しい規則を守るためには、すべてのボートがこれまで以上に海洋哺乳類から離れなければならない。ザトウクジラとのシュノーケリングなど、禁止になった活動もある。(参考記事:「ニューヨークの海でクジラが急増、復活の理由は」

 クジラを保護する必要があることにはほとんどの人が同意しているが、ホエールウォッチングボートに対する規制の規模や課題については議論があり、一部の企業は「過度に負担が大きく、過剰でさえある」と指摘している。それでも、カナダの法律はすでに変わっており、旅行者はクジラの見方や鑑賞方法について意識を変えなくてはならない。

クジラの保護が必要な理由

 カナダの海には約30種のクジラが暮らす。バンクーバー、ハリファックスなどの都市からヌナブト準州ポンドインレットのような集落まで、旅行者はカナダの3方向すべての沿岸でホエールウォッチングを楽しむことができる。チャーチルを夏に訪れれば、ハドソン湾に5万5000頭いるシロイルカの一部をほぼ確実に見ることができる。

 このように目撃の機会は豊富だが、絶滅の危機にさらされているクジラもいる。北大西洋のセミクジラは個体数わずか366頭で、南部に生息する定住型のシャチに至っては、ブリティッシュ・コロンビア州から米国ワシントン州にかけてのセイリッシュ海に74頭しか残されていない。 (参考記事:「パタゴニアでクジラが謎の大量死」

参考ギャラリー:クジラの世界 写真14点(画像クリックでギャラリーページへ)
参考ギャラリー:クジラの世界 写真14点(画像クリックでギャラリーページへ)
ハワイ、コナ島沖で泳ぐゴンドウクジラ。ゴンドウクジラの群れの後を、サメが追っていることもある。食べ残しにあやかれるからだろう。(PHOTOGRAPH BY BRIAN SKERRY, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

次ページ:脅威への対応

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