若いイトヒキアジが、フィリピンの主要な航路であるベルデ島水路を泳ぐ。糸状に長く伸びたひれはクラゲの触手のようだ。これで、夜の海で獲物を探す捕食者を避けているのかもしれない。(PHOTOGRAPH BY JENNIFER HAYES AND DAVID DOUBILET)
この記事は雑誌ナショナル ジオグラフィック日本版2021年10月号に掲載された特集です。定期購読者の方のみすべてお読みいただけます。
漆黒の闇に閉ざされた大海原では見たこともない生き物たちが潮の流れに乗って揺らめいている。
真夜中の外洋に照明付きのロープが下ろされた。水深30メートルの真っ暗闇へ沈んでいく。
それから何分か後、ダイバーたちが海に飛び込んだ。スキューバダイビングの機材を背負い、ライトやカメラを携えているのは、写真家のデビッド・デュビレとジェニファー・ヘイズだ。二人は想像を絶する夜の海へと下りていった。
クラゲ(左)や、エビのような端脚類に囲まれた幼いミノカサゴ(右)などの動物プランクトンは、夜になると食物を探して深い海から海面へ浮上してくる。日没後の海に潜るのは「世界屈指の風変わりな生き物たちのパレードを特等席で見るようなもの」だとデュビレは話す。(PHOTOGRAPH BY JENNIFER HAYES AND DAVID DOUBILET)
「海に入るとまず、銀河のような光が目に飛び込んできます」とデュビレは話す。「仲間のダイバーたちが持っているライトが、水中のあちこちに銀河に似た光景をつくり出すんです」
ヘイズがインドネシア沖で撮影した若いコンゴウフグ。デュビレは潮の流れに身を任せる夜のダイビングを、宇宙遊泳にたとえる。「どの方向が上かを知るには、空気の泡が上っていく方向を見るしかないんです」(PHOTOGRAPH BY JENNIFER HAYES AND DAVID DOUBILET)
バミューダ諸島沖の海中でトビウオを見上げると、その姿が水面の裏側に映っていた。トビウオは海上では、胸びれを翼のように広げて最長で200メートルもの距離を滑空できる。(PHOTOGRAPH BY JENNIFER HAYES AND DAVID DOUBILET)
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