土星の中心にスープ状の巨大なコア、最新研究で解明

「予想していたものとまったく違っていました」と研究者、波打つリングから読み解く

2021.08.20
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科学者たちは土星の環に見られる波を観測することで、土星のコアの大きさと形を測定することができた。そのコアは想像よりもはるかに大きく、奇妙だった。(PHOTOGRAPH BY NASA, JPL)
科学者たちは土星の環に見られる波を観測することで、土星のコアの大きさと形を測定することができた。そのコアは想像よりもはるかに大きく、奇妙だった。(PHOTOGRAPH BY NASA, JPL)
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 土星の内部にあるコア(核)は、直径の60%を占める巨大なものであること、また、氷と岩石とガスが混ざり合った奇妙なスープ状の塊であるらしいことが、最新の研究でわかった。土星の環から解き明かしたこの研究成果は、8月16日付けで天文学の専門誌「ネイチャー・アストロノミー」に発表された。

「巨大なコアです。私たちが予想していたものとはまったく違っていました」と、論文の著者の1人である米カリフォルニア工科大学のクリス・マンコビック氏は語る。

 この意外な研究成果は、土星が形成された仕組みや、磁場が生まれる仕組みについても、科学者たちに再考を迫ることになる。「土星のコアが複雑であることはある程度予想していましたが、それ以上に複雑でした」と、米ジョンズ・ホプキンズ大学のサビーン・スタンリー氏は言う。なお、氏は今回の研究には参加していない。

土星のコアは地球の約17倍の質量をもち、水素、ヘリウム、氷、岩石の混合物で満たされている。(ILLUSTRATION BY ROBERT HURT, CAL TECH)
土星のコアは地球の約17倍の質量をもち、水素、ヘリウム、氷、岩石の混合物で満たされている。(ILLUSTRATION BY ROBERT HURT, CAL TECH)
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 土星の内部を詳細に調べるために科学者たちが目を向けたのは土星の環だった。土星の環はまるで地震計のように、この惑星の内部の挙動を記録しているからだ。土星の環を分析した研究チームは、土星のコアの質量が地球17個分であることや、事前の予想とは違い、岩石や鉄からできたコンパクトな塊ではないことを明らかにした。

「惑星の最深部について何かを知るのは非常に困難です。土星のような巨大惑星では特にそうです」とスタンリー氏。「新たな情報のすべてが既存の知識を修正してくれます」

 科学者たちは今後、これほど大きくてごちゃごちゃしたコアをもつ巨大惑星が成長してきた過程を解明しなければならない。新たな悩みの種だ。

土星の内部への入り口

 土星の最大の特徴はその環にある。環は遠くからは円板のように見えるが、実際には無数の氷の塊でできており、家ほどの大きさの塊もあれば、小石ほどの大きさの塊もある。氷の塊は、土星やその衛星との重力相互作用によって押されたり、引っぱられたり、変形させられたりする。

 そうしてできる環の「さざ波」は、土星の内部構造の記録でもある。科学者は通常、惑星の内部を探るのに重力場の変動を利用するが、この方法では土星のような巨大ガス惑星の内部をのぞき込むことができない。その代わりとなるのが環なのである。

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