ベゾス氏も宇宙へ行った、大富豪たちの夢の先にある現実

商業宇宙旅行時代が到来、「誰が宇宙へ行けるのか」は何を意味するのか

2021.07.26
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「宇宙は依然としてごく限られたエリートのものです。行くのは難しく、人類の99%には無理で、変わりつつあるエリートたちの場所という趣です」と言うのは、米シカゴ大学の宇宙史家ジョーダン・ビム氏だ。

「1960年代に宇宙へ行ける条件が『ライトスタッフ(正しい資質)』だったとすれば、今はある意味『ライトフレンズ(正しいお友達)』であることか、正しい銀行口座を持っているかです。私が見る限り、今現在売ったり買ったりされているものが、宇宙のユートピア的な未来像でないこともあります」

米テキサス州西部で7月20日、初飛行に成功した後地球に帰還するニューシェパードのカプセル。(PHOTOGRAPH FROM VIDEO BY BLUE ORIGIN)
米テキサス州西部で7月20日、初飛行に成功した後地球に帰還するニューシェパードのカプセル。(PHOTOGRAPH FROM VIDEO BY BLUE ORIGIN)
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垂直着陸を最初に成功

 2015年11月、ブルーオリジンはイーロン・マスク氏率いるスペースXに先駆けて、史上初のロケットブースターの垂直着陸に成功した。ブースターを再使用するという同社のビジョンに欠かせない大きなステップだった。

 この初着陸を含め、ニューシェパードはこれまでに15回飛行し、3機のブースターが14回の着陸を成功させている。そのうち1機は、7回飛行した。飛行の際には、実験装置を搭載し、微小重力が遺伝子の発現、細胞、組織にどのような影響を与えるかなど、様々な実験が行われた。また、宇宙空間におけるアートプロジェクトも2回実施されている。

 今回の飛行と同様、過去の飛行でも、ブースターはカプセル発射後に垂直着陸し、有人カプセルはパラシュートを開いて降下した。ロシアの宇宙船ソユーズは、1960年代からパラシュートを使って宇宙から帰還している。

 ブルーオリジンは現在、次なる段階である周回軌道飛行の実現へ向けて準備を進めている。有人飛行の黎明期にNASAがたどった軌跡を踏襲し、まずは弾道宇宙飛行を成功させ、次に周回軌道飛行、その後宇宙ステーション建設や月面着陸などより大胆な計画へ移行するというステップだ。

 同社の大型ロケット、ニューグレンに使用されるBE-4と呼ばれるロケットエンジンは、2016年に米フロリダ州ケープカナベラル郊外に建設した同社工場で目下建造中だ。初飛行は何度も延期されており、今は2022年に予定されている。

 同業のユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社も、ブルーオリジンからBE-4エンジンを購入したが、納品が遅れてULAが不満を示しているとの報道がある。

みんなの宇宙

 今や宇宙における人類の未来は、裕福な起業家と政府の宇宙プログラムに委ねられている。そして、マスク氏、ベゾス氏、ブランソン氏はそれぞれ、その未来について異なるビジョンを描いている。マスク氏にとってそれは火星にあり、ベゾス氏はもう少し地球に近い宇宙を目指す。

 だが問題は、その夢をどのようにして実現させるかだ。技術だけが問題なのではない。現時点では、参入したくても莫大な費用がかかり、宇宙は大富豪とエリートに独占されているとビム氏は指摘する。

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