古代ギリシャ人はシリウス(おおいぬ座でいちばん明るい星であることから「犬の星」とも呼ばれる)が7月末になると太陽と一緒に昇ってくることに気がついた。彼らは太陽とシリウスの力が合わさり、1年でいちばん暑い時期をもたらすと考えていた。(PHOTOGRAPH BY ANN RONAN PICTURES, PRINT COLLECTOR/GETTY)
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 英語圏では「犬の日々(DOG DAYS)」と聞くと、うだるように暑く、犬でさえアスファルトに寝そべって息を荒くしているような夏の日を思い起こす。ただこの言い回し、犬でも暑さでだらけてしまう、ということから来ているわけではない。「ドッグ・デイズ」とは、星座のおおいぬ座の中でいちばん明るく輝き、オリオンの猟犬の一匹を表す星「シリウス」に由来するものだ。

 古代のギリシャ人やローマ人にとって、「犬の日々」がやってくるのはシリウスが太陽と一緒に昇ってくる時期、つまり北半球における現在の7月末にあたる時期だった。彼らは、2つの星が合わさった熱によって、この時期が1年でいちばん暑く、発熱や災害もたらすと考えていた。ちなみに今年、2021年の場合、7月3日から8月11日が「犬の日々」にあたる期間だ。

「さらに昔にさかのぼると、ホメロスの『イーリアス』ではシリウスについて、オリオンの飼い犬であり、戦争や災害と関係がある星だと説明されています」と述べるのは『Sirius: Brightest Diamond in the Night Sky(シリウス:夜空でいちばん明るいダイアモンド)』の著者で、米アリゾナ大学月惑星研究所の上級研究員ジェイ・B・ホルバーグ氏だ。「古代のギリシャやローマの文学には、いたるところにこうした記述があります」

「ドッグ・デイズ」という言葉がラテン語から英語に翻訳されたのは、およそ500年前のことと考えられている。以来、この言い回しには、新たな意味も加えられた。

「今では、盛夏が『犬の日々』と呼ばれる理由についてはさまざまな説明がなされており、たとえば、この時期には犬がおかしな行動をとるから、という説があります」と、米ミシガン大学の英語教授アン・カーザン氏は言う。

「この説は実に人間らしいものです。昔からの言い回しの起源がわからないときに、もっともらしい説明を作り出してしまうことはよくあります」。ホルバーグ氏は続ける。「意味は失われても、言い回しは生き続けたというわけです」

参考ギャラリー:愛すべき犬たちとの幸せな瞬間 写真28点(画像クリックでギャラリーページへ)
うちの家族が人工孵化器でひなを孵した。体重40キロのブル・マスティフのアビーは、生後2日目の末っ子レモンにどうやら母性を掻き立てられた模様。(PHOTOGRAPH BY SHARON BAZANT, YOUR SHOT)

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