ドイツの壊滅的な洪水、忍び寄る気候変動の影響

温暖化が1℃進むごとに豪雨はますます激しくなると専門家

2021.07.21
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 6月30日付けで学術誌「Geophysical Research Letters」に発表された論文によると、大量の雨を降らせる雨雲がよりゆっくり動くことで、ヨーロッパでは今後、今回のような豪雨の頻度が高まるという。

「北極での温暖化増幅により、一般にこのような嵐の移動は、夏や秋にはさらに遅くなっていくと思われます」と、論文の著者の一人である英ニューカッスル大学の水文気候学者、ヘイラー・ファウラー氏は述べている。

 北極や南極では、世界の他の地域に比べて2〜3倍のスピードで温暖化が進んでいる。その結果、北半球ではジェット気流が不安定になっていると、科学者らは考える。

 両極地方と赤道地方の温度差が大きいときには、強く一定のジェット気流が吹くが、両極地方の温暖化が進むと温度差が縮まり、ジェット気流の速度が低下する。結果、低気圧や高気圧が停滞する期間が長くなるのだとゲルテン氏は説明する。

「気象は3日から7日ごとに変化するものですが、現在では数週間も同じ気象パターンが続くようになっています」

ドイツのコーデルでは、洪水のため村全体が冠水した。(Photograph by Sebastian Schmitt, picture alliance/Getty Images)

今後も起こるのか?

 科学者らは現在、今回の大災害に気候変動がどれほど影響しているかを調べている。

 極端な気象と気候変動との関係を研究している「ワールド・ウェザー・アトリビューション(WWA)」イニシアチブは、人間の影響によって洪水がどれほど強度を増すかを調査する予定だ。同イニシアチブの科学者からなる国際的なチームは7月上旬、米国太平洋岸北西部の猛暑は、気候変動がなければ「まずあり得なかった」だろうと判断している。

 ファウラー氏らは、産業革命前の気象条件を使って低気圧のシミュレーションを実施する予定だという。あわせて温室効果ガスの影響を織り込んだシミュレーションを実施することで、気候変動の有無によって影響がどう変わるかを比較する。

「気候変動が今回の洪水の規模を拡大させた可能性があります。激しさが増す要因になったことはまず間違いありません」とファウラーは言う。

 コーンフーバー氏は、気候変動がドイツの洪水に具体的にどのような役割を果たしたか推測することは躊躇しながらも、「これがただの偶然だとしたら、大変な驚きでしょう」と述べている。

「気象は変化しています」と氏は言う。「温暖化が1℃進むごとに、豪雨はますます激しさを増すことがわかっています。今後はこのような事象がさらに増えることが予想されます」

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文=Sarah Gibbens/訳=山内百合子

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