鳥が謎の大量死、まれに見る規模、米東海岸で進行中

目の異常と神経症状が顕著、治療法なく幅広い種に被害、原因不明

2021.07.20
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続々と運び込まれ、死にゆく鳥たち

 ワシントンD.C.で唯一の野生動物リハビリ機関であるシティー・ワイルドライフでは、5月中旬に多くの病気の鳥たちが運び込まれてきたことに「心が折れそうになりました」とエグゼクティブ・ディレクターのジム・モンスマ氏は言う。

「オオクロムクドリモドキ、ホシムクドリ、アオカケスなど、飛べるようになったかどうかの幼鳥ばかりでした。そうした鳥たちがぽつぽつと持ち込まれ、やがて堰をきったように数が増え、数えきれないほどになりました。病気の鳥がいるという通報ははるかに多かったのですが、こちらに持ち込まれる前に死んでしまいました」

 症状は目から始まる。目が腫れあがり、しばしば出血し、まもなく神経系の問題が生じて、回転したり、ひっくり返ったり横に倒れたりするようになる。

 シティー・ワイルドライフでは、最初に運び込まれた鳥たちに抗生物質と鎮痛剤を投与した。これは神経症状が見られる鳥たちに通常行う処置だが、今回はすぐに「何をやってもダメ」だとわかったという。

「ひどい状態でした。見ているのが辛くてたまりませんでした。盲目の鳥ほど哀れなものはありません。彼らは自分が困った状況にあることがわかっていますし、利他的行動を理解していないからです」。人間は鳥たちを助けようとしているのに、彼らはそれを怖がってしまうのだ。鳥たちを救う方法はなかったとモンスマ氏は言う。

「彼らは悲惨な状態で怯えていたので、苦しませないように吸入麻酔薬で安楽死させるしかありませんでした」と彼は言う。

 シティー・ワイルドライフには、5月中旬から6月23日にかけて、謎の病気の鳥が202羽持ち込まれた。6月23日のアオカケスを最後に同じ症状の小鳥は持ち込まれていないが、最近、同じような症状のタカが6羽連れてこられた。そのうちの5羽は死に、1羽は回復しつつある。モンスマ氏は、「あくまでも推測にすぎません」と断りつつ、タカは感染した小鳥を食べて病気になったのではないかと心配している。リハビリ施設のチームは検査結果を待っているところだ。

【参考ギャラリー】ギャラリー:世界の美しい鳥たち10(クリックでギャラリーページへ)
「なにこれ!?」 (Photograph By Veronika K Ko, National Geographic Your Shot)

減りつつあるが、今後はどうなる?

 一部の地域では病気の鳥の数が減っている。それでも、原因究明は依然として重要だ。もし人工の毒素が原因なら「対策を講じなければなりません」とエバンズ氏は言う。もし感染症なら、鳥への餌やりが感染の拡大に大きな役割を果たすため、一般の人々にも知ってもらう必要がある。(参考記事:「野生動物に餌やりはダメ、でも野鳥は例外? 研究」

「鳥に餌をやるなとは言いたくありません」とモンスマ氏は言うが、餌やりをしているところには鳥たちが集まってきて、同じものに触れてしまう。普通は定期的に餌台をよく掃除すれば十分だが、「感染症が拡大しているなら、それだけでは不十分です」と彼は言う。

 モンスマ氏によると、ワシントンD.C.周辺では、今回の病気で最も大きな被害を受けたアオカケスやムクドリの健康な若鳥の姿が再び見られるようになったという。鳥の集団は被害を受けても回復する。「病気になったり猫に襲われたりしてすべての幼鳥を失っても、再び卵を産んでやり直すことができます」

 とはいえ、「個々の鳥は苦しんでいます。シティー・ワイルドライフをはじめとするリハビリ施設は、そうした鳥たちのためにあるのです」とモンスマ氏は言う。「リハビリ施設の目的は鳥たちの苦しみを和らげることにあります。それができないときには、本当に辛い気持ちになります」

文=Natasha Daly/訳=三枝小夜子

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