「災害救助犬」は犬にとってどんな仕事? 作業員の心の支えにも

救助された人はもちろん、遺族も犬に感謝

2021.07.08
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災害救助犬として活躍することもあるグレーター・スイス・マウンテン・ドッグ。フランス、シュシーで撮影。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)
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 土石流が発生した静岡県熱海市から、災害救助犬の活躍が報じられた。6月24日に12階建てのコンドミニアムが崩壊した米国フロリダ州マイアミ郊外の現場でも、生存者を捜索するために災害救助犬が投入されていた。

 災害救助犬は人の呼吸の痕跡を嗅ぎ取っており、人を発見したときはほえて救助隊に知らせる、と警察犬や軍用犬の訓練を行うシニード・インバロ氏は米ニュースチャンネルの「NewsNation」に説明する。

 このような任務のために犬を訓練するのは難しく、長い時間とコストがかかる。犬とハンドラー(救助犬と行動する指導者)が「任務に就く準備が整う」までに通常1年半〜2年を要するというが、最終的にはそれだけの価値がある。人々の命を救えるからだ。

犬にとって捜索活動はゲーム

 災害救助犬になる犬種は幅広く、さまざまな行動を取るよう訓練されている。特定の場所で、人の呼気や体臭などのにおいを捜し出す犬もいる。においを追跡する犬は、行方不明者が通った跡をたどることができる。ボートに乗り込み、水中の遺体を発見する犬もいる。

 犬たちは捜索活動を相応の報酬が得られるゲームのように捉えるよう訓練されている。しかも、やりがいのあるゲームだ。「人の捜索の訓練では、たった1本の歯を手掛かりにすることもあります」と、トレーナー兼ハンドラーのベブ・ピーボディー氏は話す。

 犬を捜索に熱中させ続ける鍵は「正の強化」だとピーボディー氏は断言する。氏はボランティアのみで運営されている米国最大の災害救助犬組織「米国カリフォルニア州災害救助犬協会(CARDA)」の創設メンバーだ。

「捜索が不成功に終わった場合、問題を改善するための訓練を行いますが、それはたいてい10分ほどで終わります。その後、褒めたたえることで、彼らは再び元気になります」

 この手法は現場でも採用されている。捜索活動に丸一日を費やし、成果がなかった場合、ハンドラーは誰かを「隠す」ことがある。数分以内にその人を追跡させて見つけられるようにすることで、犬は一日を成功で終わり、成功報酬を得られるというわけだ。

 米国では災害救助犬の多くはハンドラーの飼い犬であり、ほかの犬と同様、感情や性格を表に出す。「発見後、私たちは発見された人の心身の状態を確認しますが、犬は綱引きをして遊んでもらったり、お気に入りのおもちゃをもらったりしています」とピーボディー氏は話す。

 災害救助犬はよく飼い主と救助された人の両方から褒められる。「救助された人は犬に対する感謝の気持ちでいっぱいになります」とピーボディー氏は説明する。「そして、犬は良い仕事をしたことをわかっています。犬にとってはゲームであり、私たちにとっては真剣勝負です」

次ページ:災害救助犬に絆を感じる遺族

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