パンデミックが女性に与えた不釣り合いな経済的損害は「女性不況」とも呼ばれ、多くの人を驚かせている。だが、そもそも女性たちが弱い立場に置かれた原因は、長年にわたる不平等にあるようだ。 (参考記事:「コロナと闘う女性ヘルスワーカー、350万人が劣悪な状況、インド」)
ゲイツ財団は2021年6月30日、国連ウィメンの「平等を目指す全ての世代フォーラム」と共同で、ユーラシア・グループと国際労働機関(ILO)による調査結果を発表した。この中で、なぜ世界中の女性が大きな打撃を受け、さらには雇用回復も遅れているかを明らかにした。 (参考記事:「「貧困への逆戻りが起きる」ビル・ゲイツ氏に聞くコロナ下の世界」)
ゲイツ財団ジェンダー平等部門の責任者を務めるアニータ・ザイディ氏は「この状況は北半球に限った話ではありません」と話す。「世界中で起きていることです」
ゲイツ財団が発表したデータによれば、パンデミック中は男女とも同等の割合で職を失ったが、再就職した割合は女性の方が少ない。女性の雇用者数は2021年、2019年より1300万人減少する見込みだ。
雇用格差の主な理由の一つは、いまだロックダウンの影響を受けているのが、小売、観光、ホスピタリティー、レストランなどの業界で、しかもこうした業界で女性が多く従事してきたことがある。
もう一つ大きな理由が育児だ。学校や保育園が閉鎖されて、子供の世話をするために、仕事を辞めざるを得なくなった女性たちがいる。パンデミック前、1日9時間以上を育児に費やす女性は全体の4分の1だったが、パンデミック下の現在はその割合が全体の3分の1まで増えている。
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