“宮脇方式”の「ミニ森林」が世界で増加、都市部の植樹で人気

熱波の影響を和らげ、生態系を豊かにする上に、炭素固定の効果も

2021.06.25
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オランダに作られたミニ森林。同様の森林作りは、世界中に広がりつつある。(PHOTOGRAPH BY IVN NATUUREDUCATIE)
オランダに作られたミニ森林。同様の森林作りは、世界中に広がりつつある。(PHOTOGRAPH BY IVN NATUUREDUCATIE)
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 ある暖かい6月の午後、オランダの町ユトレヒトでは、ニレとヤナギの茂みでカササギが鳴き、葉の上を甲虫が這っていた。すぐ隣には18階建てのビルが建ち、電車の線路が走っている。ここは、「ムジークプレイン(音楽の広場)」と名付けられた小さな人工森林だ。広さは、近くにあるバスケットボールコートとさほど変わらない。2018年に木が植えられる前は駐車場だった。

 同じような「ミニ森林」は、オランダ全土で144カ所に作られ、ユトレヒトだけでも7カ所にある。同国のミニ森林計画を率いる団体「IVNネイチャー・エデュケーション」によると、2021年末までにその数は200カ所に増える予定だという。

 小さな土地を活用してできるミニ森林プロジェクトは、日本の植物学者である宮脇昭氏の活動を下地としている。宮脇氏は、土地本来の若木を、間隔を詰めて植樹し、荒廃した土地に短期間で森林を再生させる方法を考案し、1970年代から各地で植樹活動を行った。

 氏は日本の植生を広く研究・分類し、ミニ森林を作りたい場所の近くの森を調査して、その森を構成している主な樹木種を何種類も混ぜ合わせて植樹する。2006年、旭硝子財団のブループラネット賞を受賞した際の論文で、宮脇氏は次のように書いている。「その土地に本来生えている樹木を中心に植樹し、自然の森の法則に従うこと」

 宮脇氏の協力者である藤原一繪(かずえ)氏によると、密接して植えられた若木は互いに競うようにして太陽の光を求めるため、短期間で成長する。この方式は、1メートルしか幅がない狭い場所でも導入できるが、複数の種を混ぜて植樹するには最低3メートルの幅があったほうがいいという。

 宮脇方式は、インドのトヨタの工場でエンジニアとして働いていたシュベンドゥ・シャルマ氏によっても広められた。2009年に、シャルマ氏が勤務する工場に宮脇氏のミニ森林が作られたのがきっかけだった。

 森林の成長ぶりに驚いたシャルマ氏は、起業してさらに研究を重ね、自宅の裏庭に同じような森を作った。2014年にはTEDトークに出演し、誰でも土地本来の植生を利用したミニ森林作りが学べるように、独自の説明書を作成した。

 それ以来、この考え方は世界中で人気を獲得し、シャルマ氏の会社「アフォレスト」はインドを中心に世界の44の都市で森作りを支援してきた。ベルギー、フランス、英国にも同様の森林が作られ、アジアではインドやパキスタンで、都市部における宮脇式植樹計画が進行中だ。(参考記事:「1日で5000万本を植樹、インドで世界記録」

次ページ:個人向けの超ミニ森林キットも開発

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