南アフリカのソドワナ湾で泳ぐシーラカンス。長い間、絶滅したと思われていたが、1938年に再発見された。(PHOTOGRAPH BY LAURENT BALLESTA, NAT GEO IMAGE COLLECTION)
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 かつて、恐竜と一緒に絶滅したと思われていた原始の深海魚シーラカンスが、またしても科学者たちを驚かせている。新しい研究によれば、体長2メートルの「生きた化石」は、従来考えられていたより5倍も長く、おそらく100年ほど生きるという。

 6月17日付けの学術誌「Current Biology」に発表された論文は、既知の2種のうちの1種、アフリカシーラカンス(Latimeria chalumnae)のうろこを新たに分析したところ、これまで推定されてきた寿命20年は誤りであると結論づけている。

 さらには、卵胎生のシーラカンスのメスは5年間も子を身ごもり、オスとメスで若干異なるものの、産まれた子が成熟するにはおよそ55年もかかると、研究を率いたフランス海洋開発研究所のケリグ・マエ氏は言う。妊娠期間はこれまで2年と考えられていた。

 過去の研究ではシーラカンスの寿命は20年とされたため、マグロなどと並んで最も速く成長する魚類のひとつとされていた。だがその一方で、シーラカンスの繁殖率の低さ、代謝の遅さ、酸素吸収量の低さといった、深海ザメのような成熟の遅い海洋動物が持つ性質とは不釣り合いだった。

「これまでずっと謎でした。ようやくつじつまがあいます」。今回の研究には参加していない、米オレゴン州立大学漁業野生生物保全科学部長のセレーナ・ヘペル氏はそう語る。

 今回の研究結果はまた、絶滅の危機に瀕しているシーラカンスが、意図せず網にかかってしまう混獲や極端な気候変動などの脅威に対して、これまで考えられてきた以上に脆弱であることも意味している。

うろこから年齢を割り出す

 シーラカンスの成長に関する最初の研究は、1977年、博物館が保管するアフリカシーラカンスの標本12点のうろこに見られる縞模様に着目したものだった。石灰化構造のこの縞模様は輪条(circli)と呼ばれ、木の年輪やアイスコア(氷床を掘削したサンプル)のように、時間の経過を記録すると考えられている。

 うろこに見られる規則的な成長の跡を元に、当時の科学者たちは、これが年に2回形成されるものだろうと結論付けた。その後、年に1回と考えられるようになり、ここからシーラカンスの寿命は20年ほどとされた。

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