絶滅した巨大サイの新種を発見、パラケラテリウムの謎解明

キリンより背が高く、重さはアフリカゾウの4倍も、中国で発見

2021.06.24
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中国甘粛省で、巨大なサイの仲間パラケラテリウムの新種が発見された。頭骨の特徴から、現在のバクのように、柔軟性があり、物をつかむことができる鼻をもっていたと考えられる。(ILLUSTRATION BY YU CHEN)
中国甘粛省で、巨大なサイの仲間パラケラテリウムの新種が発見された。頭骨の特徴から、現在のバクのように、柔軟性があり、物をつかむことができる鼻をもっていたと考えられる。(ILLUSTRATION BY YU CHEN)
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 現在のチベット高原は標高4000メートルもある広大な高原地帯だ。だが数千万年前には一部にまだ湿潤な森林があり、太古の巨大哺乳類の通り道となっていたらしい。

 太古の絶滅巨大サイの化石が中国甘粛省で発見され、新種として6月17日付の学術誌「Communications Biology」に発表された。重さは最大でアフリカゾウの4倍に当たる24トンもあり、高さもキリンより高かったと見られる。

 今回の新種は、パラケラテリウムの一種で、Paraceratherium linxiaenseと名付けられた。アジアの中央部には5000万年前から2300万年前ごろにかけて、角のない巨大サイの仲間が暮らしていたが、今回の新種はそのなかでいちばん後に登場した種だ。成長すると、肩までの高さが5メートルほど、長さ約2メートルの首に、1メートルもある巨大な頭がついていたと考えられる。

「ビルの3階か4階くらいの高さにある花を食べることができたはずです」と、フランスのモンペリエ大学で古代のサイを研究している古生物学者ピエール=オリヴィエ・アントワーヌ氏は話す。同氏はナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーで、今回の論文の査読にもあたった。

 P. linxiaenseが生息していたのは、今からおよそ2650万年前。見つかった化石には、完全な頭骨と下顎骨、3つの椎骨が含まれる。その年代や発見場所から、パラケラテリウムの系統図の不明確だった部分が明らかになり、彼らがどこで進化を遂げ、どのようにして現在のアジア大陸に広がっていったのかを解明する手がかりが得られた。(参考記事:「氷河期の絶滅サイを復元、毛むくじゃら、シベリア」

南アジアに到達した巨大サイ

 パラケラテリウムの化石が発見されることは珍しく、断片的にしか出土しないことがほとんどだ。そのため、進化や分布を明らかにするのは容易ではない。パラケラテリウムの仲間は長期にわたってアジア中央部に暮らしていた。ただし、そのうちP. bugtienseだけが、南アジア、現在のパキスタン西部で見つかっている。この巨大サイは、アジア中央部からいったいどのようにしてチベット高原を越え、南アジアまでたどり着いたのだろうか。

 そのヒントを与えてくれるのが今回の新種P. linxiaenseだ。論文の著者である中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の古生物学者タオ・デン氏が率いる研究グループは、P. linxiaenseが、パキスタンで見つかったP. bugtienseに非常に近い種であることを突き止めた。

 P. linxiaenseの化石が見つかったのは、甘粛省にある臨夏盆地。この場所では、最大で厚さ2キロメートル近くの地層が、過去3000万年の地球の歴史を物語っている。そこには、かつてこの地域に生息していた古代生物の化石が点在する。

次ページ:巨大サイの謎

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