幻のウーリームササビに2つの新種見つかる、ヒマラヤ

絶滅と考えられていた猫サイズのげっ歯類、実は1種でなく3種だった

2021.06.10
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【動画】ウンナンウーリームササビ
中国とミャンマーの国境にある自然保護区で、カメラトラップによって撮影されたウンナンウーリームササビ。

 その後、1994年に動物学者のピーター・ザーラー氏が、パキスタンの辺境で彼らを「再発見」したおかげで、科学者はこの謎めいた種に関して多くを知るようになった。例えば、ウーリームササビがマツやビャクシンの葉だけを食べていることや、彼らの長い歯は葉を砕くために畝状になっていることなどだ。(参考記事:「牙を持つ古代のリスの化石が見つかる」

 ウーリームササビは前肢と後肢の間に張られた皮膚を使って、岩や崖の間を滑空する。ふわふわとした長い尾は、体そのものと同じくらいの長さがあり、舵の役割を果たすほか、急な降雨のときには傘としても機能する。また、大きな体と密度の高いふっくらとした毛皮は、厳寒の山中でも熱を逃がさない。

1種ではなかったウーリームササビ

 ヘルゲン氏と同僚のスティーブン・ジャクソン氏は、ウーリームササビについて調査研究するほど、ヒマラヤに生息している大型ムササビは一種ではないと考えるようになった。

 両氏は世界の8つの博物館を訪ねて、24体のウーリームササビの標本を調べた(最も新しい標本は50年近く前のもの)。その結果、ムササビの頭骨の形に大きな違いがあること、またチベットの個体は尾の先端が黒く、他の個体にはその特徴が見られないことを発見した。DNA鑑定でも、それぞれが別の種と言ってよいことが確認された。

「これらの種は、博物館の棚の中で長い間、秘密を暴かれるのを待っていたのです」と、スミソニアン博物館の哺乳類キュレーターでリスの専門家であるメリッサ・ロバーツ・ホーキンス氏は言う。

 ウーリームササビを研究するうえで、体の構造と遺伝的特徴を調べることは欠かせないと、ホーキンス氏は述べている。なぜなら「まったく違うように見えていながら同じ種であることもあれば、まったく同じように見えていながら数百万年間の進化で分かれていることもある」からだ。

 今回の情報は、博物館にある限られた数の標本から得られたものであるため、ヘルゲン氏は、どちらのウーリームササビについても、その個体数や脅威は未知数であると述べている。

「これは始まりに過ぎません。今回名前が付けられたことで、彼らの生活についてより多くのことがわかっていくことでしょう」

【動画】リスの奇妙な行動の理由(解説は英語です)

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文=CARRIE ARNOLD/訳=北村京子

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