フォーミカリアムやアントファームと呼ばれる最新式のアリの家。これはトネリコの木を使ったもの。趣味のアリの飼い主たちは今、かつてないほど大きく、健康なコロニーを作れるようになっている。(PHOTOGRAPH BY MARTINHO GM)

 ケンドリック・ナカムラさんは、ペットを43匹飼っている。ウサギが2匹、ネコが1匹、それ以外はすべて、コロニー(生物の集団)を作ってくれることを期待して採集したばかりの女王アリだ。数カ月のうちに、飼育するアリの数はさらに数百匹増えるだろう。ナカムラさんはそれが待ちきれないという。

「アリの巣はまるで小さな社会です」と彼は言う。「眺めていれば、アリたちが触覚を伸ばして触れ合わせることで、互いに“会話”をしているのがわかります。巣の中で、『食べ物があるよ!』『ほら、砂糖水を飲んだら』といったメッセージが交わされているのが見えるのです。おもしろくてたまりません」

 現在、ナカムラさんが所有する女王アリたちは、寝室のサイドボードの上にある小さなガラスの試験管内で暮らしている。ナカムラさんが過去4年間で所有してきたアリのコロニーの数は数百個にのぼるが、この趣味にはあまりお金はかからない。アリのすみか(さまざまな容器)と食事(主にゴキブリ)に使われる金額は、せいぜい月に10ドル程度だ。

 米国カリフォルニア州リバーサイド郡に住む学生であるナカムラさんのほかにも、アリの飼育に夢中になっている人は大勢いる。過去10年間で、世界中で何万人もの人々がアリの飼育を始めているが、その技術は1950年代に登場したおもちゃの飼育キットとは大きく様変わりしている。

 フォーミカリアムやアントファームと呼ばれる最新型のアリの家は、コロニーを大きくして、アリたちが産卵したり、子育てをしたりする様子を手軽に観察できるようになっている。ネット上の活発なコミュニティでは、情報が共有され、最適なアリの食事からコロニーを冬眠に誘導する秘訣まで、さまざまな内容が議論されている。

 中には、希少なアリの生活サイクルを丹念に記録したり、あまり研究されていない種の興味深い行動を観察したりしている人たちもいる。今では、研究者もこの界隈に注目し始めており、趣味のアリ飼育家たちが持つ知識の恩恵を受けている。

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